料理研究家・内田真美さんの厳選美味。朝食、麺、鍋…全部食べたい、台北で「絶対美味しい」7軒。
撮影・青木和義 長野陽一(内田さん) コーディネート・蘇宥沂(Wendy Su)
【松江南京駅】種福園斤餅牛肉店(チョンフーユエンチンピンニウロウティエン)松江店
独特の粉もの料理、「斤餅(チンピン)」に魅せられて。
店名にもある「斤餅」とは中国東北地方の料理。練った小麦粉を巻き、さらに平たく伸ばして焼いた粉餅だ。内田さんが自身でもよく作る大好きな粉もので、台湾で見つけたときには歓喜した。
「クレープのような生地にはパイのような極薄の層があり、独特の噛みごたえやコシを楽しめるのが特徴。そこに様々な具を巻いて食べますが、味の濃厚な肉の細切り炒めと、卵焼きがのった野菜炒めは必須。甜面醤を塗った斤餅でたっぷりの具を巻いて、いただきます」
ショウガが効いた、あっさり海鮮スープ「三鮮湯」をお供にするのが内田さん流だ。
【忠孝敦化駅】宜品福州乾拌麺(イーピンフージョウガンバンミエン)
さっと食べられる、気軽な本格派。
温かい麺にタレや薬味を絡めて食べる乾拌麺、この店では3度の味変わりを推奨。まずもちもち麺をそのまま、その後ピリッとラー油を。次に香醋と書かれたソースで味に深みを加え、最後に唐辛子を刻んだ調味料でフィニッシュ。
内田さんがお気に入りのアレンジは、薄切りの青苦瓜で清々しさをプラスすること。
「生野菜が恋しいときに食べたくなります。まず麺を3種の調味料であえて、パリパリシャキシャキとした青苦瓜の小皿を混ぜる。麺の風味、調味料のコク、青苦瓜の瑞々しさが一体に。手軽なのに台湾らしい、無二の味わいです」
【善導寺駅】天和鮮物 (ティエンホーシェンウー)
その名も「酵素精力湯」で疲れ気味の身体をリセット。
自社農場で管理された生鮮品、各種食材が揃う店。台湾訪問時は必ず立ち寄るが、中でも絶対に欠かせないのがイートインコーナーの「酵素精力湯」だ。聞いただけでも力が湧いてきそうな名前!
「14種類の無農薬・有機栽培の上質な野菜や果物を使った、冷たいエネルギースープなんです」
食べるタイプ、飲むタイプがあるが、特に、食べるタイプは新食感。野菜や果物の甘味、砕いたナッツ、ドライフルーツの食感、酵素液の深い甘酸っぱさ。全てが混然一体で、あっという間に食べてしまう。
「旅中盤、お腹が重いときに。身体がスッとリフレッシュします」
【忠孝敦化駅】Yu Chocolatier(ユーショコラティエ)
洗練された店内で、温かいお茶と1粒のショコラでひと休み。そのショコラが選び抜かれた上質な台湾食材から作られたものなら、さらに旅先ならではの体験になる。
「季節ごとの台湾蜂蜜を使った『四季之蜜』、台湾ショウガとラズベリーを合わせた『薑汁覆盆子』など、どれも食べてみたい!と思うものが並んでいます。店主のユーさんの作るショコラは、魅力的な素材やその香りと味のバランスだけでなく、コーティングの薄さ、食感など、ボンボンとしての完成度がとても高いことも魅力です」
涼しい季節なら、日本へも持ち帰れる。ちょっと優雅なお土産に。
内田真美(うちだ・まみ)●料理研究家。雑誌や広告などで広く活躍中。15年以上も台湾に足しげく通い、自身が愛する美味しい店や細やかな情報を綴った著書が大人気を呼んでいる。
*1台湾元=約3.6円(2019年2月22日現在)
『クロワッサン』993号より
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