心躍る、学びの場と遊びの場が勢揃い。パナソニック 汐留ミュージアム 『子どものための建築と空間展』
文・嶌 陽子
一日に何度も行き来した学校の廊下や階段。放課後に走り回った公園。子ども時代を過ごした空間は、今でも記憶に刻まれているはず。そんな原風景を呼び覚ますような展覧会が開催中だ。明治時代から現代までの小学校や幼稚園、公園など、子どもの“学び場”と“遊び場”を時代ごとに紹介。写真や模型、図面など、それぞれに関する資料のほか、教育玩具、絵本の原画といった様々な展示品約170点を通じ、各時代の文化的背景も分かるようになっている。
「学校建築には、子どもたちが安全に、楽しく過ごすためのアイデアがたくさん詰まっています。高名な建築家が面白い試みをしているケースも多いのです」(パナソニック 汐留ミュージアム学芸員・大村理恵子さん)
明治期の堂々たる擬洋風建築から、昭和期に新しい教育思想のもと作られた壁のない教室、さらには現代の建築家による巨大な楕円形の屋根の幼稚園まで。バラエティ豊かな建築やデザインの数々からは、それぞれの時代背景や、当時の大人たちが抱えていた子どもへの思いと期待が伝わってくる。
「常に子どものためを考えているという意味では、どの時代においても、学校や遊び場づくりは“未来志向”であると言えます」(大村さん)
「自分が通っていた学校と似ている」「こんな公園で遊びたかった」など、自分の子ども時代を思い出しながら楽しんでいるうちに、今の子どもを取り巻く社会や環境にも自然と思いが及ぶ。未来を作る子どもたちが、のびのびと子ども時代を過ごすために、私たちができることは何か。展示作品の向こうから、そんな問いかけが聞こえてくるようだ。
『子どものための建築と空間展』
パナソニック 汐留ミュージアム ~3月24日(日)
パナソニック 汐留ミュージアム(東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階) 電話番号03-5777-8600(ハローダイヤル) 10時~18時(入館は~17時30分) 水曜休館 料金・一般800円
『クロワッサン』992号より
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