くらし

安い肉でもワインをふんだんに使って、おいしく煮込むのがフランスのマダムのスペシャリテ――ピエール・フリジャン(シェ・ピエール店主)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、老舗ビストロのおいしさの秘密に迫りましょう。
  • 文・澁川祐子
1978年4月号「いま話題 ビストロ料理のコツを公開します。」より

安い肉でもワインをふんだんに使って、おいしく煮込むのがフランスのマダムのスペシャリテ――ピエール・フリジャン(シェ・ピエール店主)

気軽にワインや料理を楽しめるビストロ。これまで東京では、何度かビストロブームが到来していますが、いちばん初めは1970年代。1973年に西麻布で開業した「ビストロ・ド・ラ・シテ」が嚆矢とされていますが、今回の名言の主、ピエール・フリジャンさんもじつはその立役者の一人です。

もとはパン職人として来日したピエールさん。フランスの家庭の味を気楽に楽しんでもらおうと1973年、乃木坂に「シェ・ピエール」をオープンしました。得意としたのは、カエルやウサギの煮込み料理。さすがに日本の家庭でそのまま真似するのはむずかしいので、誌面では骨つきの鶏肉を使ったレシピが紹介されています。

バターで炒めてこげ色をつけた骨付き肉と、同じく強火で炒めた野菜を鍋に入れ、酸味の少ないワインをなみなみと注ぎ、弱火で煮込む。40分経ったら肉を出し、ソースを煮詰めてこす。おいしくつくるには、高価な肉も、フォン・ド・ヴォーなどの特別なソースも必要なし。コツは、とにかくワインをケチらないことだとピエールさんは語ります。

濃厚なソースがたっぷりかかった迫力のある一品は、いま見ても唾を飲み込むほどですから、当時はさぞかし目を引いたことでしょう。「シェ・ピエール」は2017年に惜しまれながら閉店しましたが、長く愛された理由がわかるレシピが、ありし日の店の姿とともに誌面に残されていました。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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