くらし

人、芸術、自然、言語…… アフリカは大きいなぁ。世田谷美術館『アフリカ現代美術コレクションのすべて』│金井真紀「きょろきょろMUSEUM」

ガーナ人の友だちと、都内のガーナ料理レストランに行った。首都圏に住むガーナ人が集まる店で、新しいガーナ人客がやってくるたびにみんな立ち上がってハグしたり、握手したり、賑やかに挨拶を交わす。「仲良しなんだねぇ」ってわたしが言うと、友だちはこっそり「でもあの人はトゥイ語は喋らないからね」「あっちの人はガ語だし」なんて教えてくれる。ガーナの言語は80以上あるらしい。ひょえー。

さて、世田谷美術館のアフリカ現代美術コレクション。ナイジェリア人の女性作家による大きな鉄製彫刻がすてきだった。鉄を溶接して作られた3人の焦げ茶色の顔や手足の表情がいい! 袖がふんわりしたブラウスや風をはらんでゆったり広がるワンピースを、鉄という硬い素材で作っちゃう自在さにも惹かれる。

作者のソカリ・ダグラス・キャンプはニジェール川の三角州に住むカラバリという民族の出身。故郷では女性が金属加工を行うことは禁じられており、ロンドンを拠点に活動しているとか。解説に「ニジェール川の三角州には250以上の言語を話す40以上もの民族が暮らす」とあって目が点になる。調べたらナイジェリア全体では500を超す言語があるらしい! あぁ、なんという豊かさ、なんという複雑さ。

ほかにも廃品(はっきり言ってゴミ!)で作ったオブジェ、流木の彫刻、床屋さんの看板まで多様なものが展示されていた。「アフリカとは」なんて一括りでは語れないのがアフリカなんだなぁ。

『アフリカ現代美術コレクションのすべて』 
世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)にて4月7日まで開催。西アフリカ、中部アフリカ出身の現代作家を中心に同館が所蔵する9作家の作品を展示する。電話番号03-3415-6011 10~18時 月曜休館(2月11日を除く)、2月12日休 一般・200円

金井真紀(かない・まき)●作家、イラストレーター。最新刊『サッカーことばランド』(ころから)が発売中。

『クロワッサン』991号より

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