専門機関に相談すれば、何かしら活路が見出せるはず。
最近の不動産の相続は、プラスだけでなく、マイナスの影響を及ぼす場合が増えている。B美さんの場合、長い目で見ると土地の管理に見合った地代は得られない。農家の人は買い取って税金を払うより地代のほうが安いので、この状態は続きそうというのがB美さんの見立てだ。
「相続は選り好みができないので、この土地に限らず、親のすべての財産を放棄するとしない限り、問題の農地の管理は避けられません」
親戚が放棄を許さない、という点も見逃せないポイント。
「隣家や親戚筋に買い取ってもらうのも相続の際の対応策ですが、値段もつけられない土地となると厄介。勝手に土地の処分を始めたら、親族間のトラブルにも発展しかねません。今後、この農地の管理費のため、残された財産はいずれ底をつき、自分たちの負担になってしまうことを、書面なりできちんと証明をして、親族に相談してみる必要もあるでしょう」
その上で今できることは?
「土地勘のない場所ならなおさら、現状をしっかり把握することです。まずは、第三者的な立場の行政に聞くのが得策。そもそも、日本では農地をむやみに売買できないよう規制がかかっています。親類縁者や借りている農家の人も、土地の規制などはうやむやなまま、今に至っている可能性も高いでしょう」
農地を管理しているのが、各市町村にある農業委員会。
「農地の状況を把握した上で、全部の土地でなくとも、少しでも身軽になれるよう、引き取ってくれる先を探す相談をしてみましょう。そこでもらちが明かなければ、どこに行けばいいか確認を。アクションを起こせば、何かしら身軽になるヒントが見つかることも。行動を起こすのが面倒だから、お義父さんも手をつけられなかったのかも。その相談結果を親族に報告し、みんなが納得できる方法を取ることをおすすめします」
《農業委員会とは?》
各市町村に設置されている、農地に関わる行政委員会。農地法に基づき、農地の売買、貸し借りの許可や農地転用の許可及び届け出の受理、農地等の利用推進、違反転用防止対策など、農地に関する業務をはじめ、農地の税制などの業務を行う。