着物で座布団に座れば 落語の世界が生まれます。│柳家三三「きょうも落語日和」 | アートとカルチャー | クロワッサン オンライン
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着物で座布団に座れば 落語の世界が生まれます。│柳家三三「きょうも落語日和」

  • イラストレーション・勝田 文

前号から始まりました当連載、読者の皆さんに落語のイロハをお話しすると、一応の指針を立てて船出はしましたが、なにぶん船頭が素人ですから心もとないことこの上なしです。頼りない船頭とかけまして新米の主婦と解く、どちらも舵(家事)に自信がないというやつで。

これで終われりゃラクなものですが、そうもいかないようです。さて、前回は“落語とは何ぞや”という定義を私なりに考えてみたのです。おさらいすると

――着物を着て座布団に座った一人の演者によって、登場人物や筋の運びなど全てが語られた、落ちのある物語――

でしたね。

テレビの通販番組じゃありませんが「あくまで個人の見解です」とつけ足したいところです。例えば“着物を着て”と“座布団に座った”という条件。演者によっても、お客さまによっても意見の分かれることがあります。実際わが業界の大看板・柳家花緑師匠は、洋服姿で椅子に座り“現代の人による現代の落語”を演じておいでです。演者と観客に「これは落語だ」と共通した思いが生まれればいいのですね。ただし、この姿で江戸や明治の落語の世界はちょっと演じにくい。あべこべに“着物で座布団”は、江戸でも現代でも未来でも、お客様も不思議とすんなり受け入れてくださることが多いのです。

さあ、それでは次回はその落語をナマでお楽しみいただける「寄席」という場所へご案内いたしましょう。「きょうも落語日和」にまた一歩、近づけるはずですよ。

柳家三三(やなぎや・さんざ)●落語家。公演情報等は下記にて。
http://www.yanagiya-sanza.com

『クロワッサン』974号より

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