また、新潟はスパゲッティ・ミートソース発祥の地です。1881年創業の『イタリア軒』(現在は『ホテル・イタリア軒』)でトリノ出身のシェフが本国のボロネーゼにならってミートソースをパスタに和えたかたちで提供しました」
スパゲッティについては、「ナポリタン」の誕生も本書で詳細に記されていて興味深い。
「よく言われるように、イタリアのナポリにはナポリタンはないですから、あくまで日本独自のイタリア風洋食です(笑)。もともとは横浜のホテルニューグランドの総料理長が考案したものですが、その際はトマトソースを使っていて、本国のスパゲッティ・アッラ・ナポレターナに近いものでした。それを1946年に横浜市内で創業した『センターグリル』のシェフが、日本産の柔らかい麺を茹でてからケチャップと野菜やハムを加えて炒め、提供した。麺を炒めるという発想はイタリアにはないので、日本人に受け入れやすくするための工夫と言えます」