明日香が描く漫画の内容と本書のストーリーは、からみあいながら“ハッピーエンド”を探っていく。明日香は当初、漫画も現実も、恋愛して結ばれて家庭を築く、一昔前のステレオタイプのゴールを思い描いているが……。
「冬馬との仲が破綻する過程で、最も深い人間関係が恋愛と思わなくてもいいじゃないかと切り替わる。仕事上の信頼など、恋愛とは異なる、別の深度のある関係性もありますよね。そのつながりが恋愛に劣ることにはならない。そうした関係性の成就を考えるうちに、漫画の結末も、明日香と冬馬のラストの姿も見えてきました」