【着る服、着ない服の分け方編】こんどこそ捨てられるように! いる・いらないの即決術。
撮影・岡本 潔 文・大澤千穂
そしていよいよ取捨選択タイム。
「これは着る?」と金子さんが尋ねて、田中さんが要・不要を決める。迷うものは「今シーズン着たか」を基準に判断。今季は着ていないが未練のある服は「2軍」として残し、今の体形や流行とかけ離れたものは「戦力外」としてクローゼットの外へ出す。
「『戦力外=捨てる』とは限りません。リサイクルに出す、または別の場所に一時保管するだけでもいい。大切なのは、クローゼットに空間を作ること」
クローゼットに着る服と着ない服が混在して満杯状態になると、服同士が圧迫されてシワになる。結果、着たいものもすぐに着られなくなり、休眠中の服が増えることにもつながる。
「でも、柄や刺繡に惚れ込んで買った服など、二度と手に入らないと思うと着なくても手放しがたくて……」
と、田中さん。その場合はリメイク用にボタンや布地だけ残すのも手。
「見るだけで楽しい服は取っておいてもいいんです。何もかも捨てるのもさびしいですから。ただ、それぞれが今どんな状態かを把握することは大切。ホックが壊れたなどの小さな傷みなら、お直し屋さんで安く修繕できます」
その一言に田中さんの表情が輝く。
「そういえばお直し屋さん、最近街で見かけますね。一度行ってみようかな」
大量の戦力外服が消えたクローゼットは、一着ごとの間隔がしっかり取れて服も快適そうに見える。その下には小物を置ける空間も確保できた。
「収納できなくて玄関にかけっぱなしのバッグも、ここに置けるかも」
と、声が弾む田中さん。並べ替えたことで同じタイプの服が多いことも発覚。着心地と形のよい1枚だけを残して処分することにした。
「着ない服が多すぎて私自身も手持ちの服を把握できてなかったから、似たものを何枚も買っていたんですね。やっぱり時々は片づけなくては」
※ なかなか捨てられない貴重品や宝物を見直す記事に続きます。
田中ひろみ(たなか・ひろみ)●イラストレーター、文筆家。全国の仏像に精通。『ペンでなぞるだけ写仏 一日一仏』(講談社)、『東海仏像めぐり』(ウェッジ)ほか、著書多数。
金子由紀子(かねこ・ゆきこ)●シンプルライフアドバイザー。無理なくシンプルな生活を提案。近著に『人生の居心地をよくする ちょうどいい暮らし』(青春出版社)がある。
『クロワッサン』970号より
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