物の用途と使う場を一致させれば、生活動線が整い、散らからない。
撮影・岩本慶三 文・黒澤 彩 イラストレーション・安ケ平正哉
たとえば、宇高さんの外出時の流れはこうだ。2階の寝室で着替えを済ませ、中2階でメイクをしてアクセサリーをつける。最後に1階の畳スペースでコートを着てバッグをピックアップし、玄関へ。2階から玄関まで下りながら身支度ができて、何かを取りにもう一度階段をかけ上ることはない。
同じように、家族のものもそれぞれの動きに合わせて置き場が決まる。
「夫も、自分なりに工夫してルールを決めるようになりました。以前は2階のクローゼットにベルトをしまっていたのですが、帰宅時にコートを脱ぐのと同時にベルトも外したいからと、ベルト置き場を1階に変更したんです」
普通なら「ベルトは衣類だから、クローゼットにしまう」と考えがち。ポイントは、ジャンルごとに物を収納しなければならないという固定観念をなくすこと。宇高家では、室内で羽織る服や、長女が保育園に履いていく靴下もリビング、入浴後に着替える下着類は浴室の脱衣所というふうに、同じ衣類でも収納場所はさまざま。生活の流れのなかで自然に出し入れできるので、何よりもストレスなく片づくというメリットがある。
行動に合わせた収納をするには、まず、間取り図を見ながら毎日の流れを振り返り、行動パターンを書き出してみよう。動線がもつれるところ、理にかなっていない場所にあるものなど、問題点が見つかるはずだ。
「どこにストレスを感じているのかを見つけ出すことが大切です。その部分を変えるだけでも、だいぶ楽になりますよ。そして、行動と収納をセットで見直し続けましょう。子どもの成長や生活の変化に合わせて、収納ルールも変えていけばいいのです」
ここ数年でもっとも大きな変化は、長男が小学生になったこと。宿題を子ども部屋ではなくリビングでするので、小さな机を畳スペースに置き、出し入れしやすい収納棚の一角を教科書置き場にした。
「ごく最近では、鉛筆削りの置き場所を見直しました。今まで中2階の棚に置いてありましたが、いくら言ってもなかなか鉛筆を削らないので、リビングの小さい机に移動。ここだと長男もしやすくなったようで、私が怒る回数もぐっと減りました(笑)」
宇高有香(うだか・ゆか)●ライフオーガナイザー®。コンサルティングを通して生活に合わせた収納を提案。著書に『子どもと暮らすラクに片づく部屋づくり』(辰巳出版)がある。
『クロワッサン』970号より
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