川津幸子さん直伝、手際よくおいしいものを作るために役立つこと。
「100文字レシピ」の生みの親、川津幸子さんに教わる料理の基本。省いてよい手間、よくない手間、道具や準備などについて聞きました。
撮影・青木和義 スタイリング・綾部恵美子 文・新田草子
省けるものは省いて、でも手抜きはしない。手間と味わいのバランスを見極める。
毎日のごはんは手早く、おいしく、が一番。お店で食べる料理ではないのだから、省けるものは省いていいのです。例えば煮物の材料は2〜3種類で充分だし、クリーム煮はわざわざベシャメルソースを作らずとも、生クリームとバターでとろみをつけるだけで本格的な味になります。
一方で、省いてほしくない手間もたくさんあります。例えば、食材の大きさを揃えて切ること。炒め物などは、このひと手間で見た目も味わいも格段によくなります。ほかに煮込みは肉を炒めたら酒を回し入れて、鍋にこびりついた肉の旨味をこそげてから煮込む、煮魚や肉じゃがは煮汁を対流させるために必ず落としぶたをする……なども、これなしではおいしくならない、味の要となる手順です。いずれも練習を要するような技術ではなく、知っていればできることばかり。ぜひ心に留めておいてほしいです。省いていいことと、手間をかけるべき部分。このメリハリが身につくと、おいしいものが手際よく作れるようになり、料理がぐっと楽しくなりますよ。
落としぶたがなければ作ります。
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