毎日のごはんは手早く、おいしく、が一番。お店で食べる料理ではないのだから、省けるものは省いていいのです。例えば煮物の材料は2〜3種類で充分だし、クリーム煮はわざわざベシャメルソースを作らずとも、生クリームとバターでとろみをつけるだけで本格的な味になります。
一方で、省いてほしくない手間もたくさんあります。例えば、食材の大きさを揃えて切ること。炒め物などは、このひと手間で見た目も味わいも格段によくなります。ほかに煮込みは肉を炒めたら酒を回し入れて、鍋にこびりついた肉の旨味をこそげてから煮込む、煮魚や肉じゃがは煮汁を対流させるために必ず落としぶたをする……なども、これなしではおいしくならない、味の要となる手順です。いずれも練習を要するような技術ではなく、知っていればできることばかり。ぜひ心に留めておいてほしいです。省いていいことと、手間をかけるべき部分。このメリハリが身につくと、おいしいものが手際よく作れるようになり、料理がぐっと楽しくなりますよ。