自分の家族が犯罪者になることはない、と他人事のように感じる人も多いだろう。しかし、夫や子どもが交通事故の加害者になり得ないと、誰が言いきれるだろう。
「家族を送り出すときに『気をつけてね』と言いますが、これは交通事故に遭わないように、被害者にならないようにという願いが込められていると思います。でも、加害者になる可能性だってある。そんな想像をしたら、もしも周りに加害者家族がいたとしても、もう少し柔らかな対応をできるようになるのではないでしょうか。人間ですから感覚的に嫌悪感を抱くのは仕方のないこと。でも、石を家に投げ込むとか、プライバシーをインターネット上に晒すなど、社会正義を謳って加害者家族を直接的に攻撃することは許されません」
活動を始めて今年で10年。加害者家族という単語はずいぶん浸透してきたと感じているが、さらなる課題はすでに明確だ。