一見キレイなのに使いにくい家は、生活動線を整理してみよう。
撮影・関口史彦 文・一澤ひらり
「見た目は片づいていても、生活動線に合わせてモノが配置されていない家は、ムダなアクションが増えて、気づかないうちにストレスが蓄積します」
と指摘するライフオーガナイザー®の宇高有香さん。生活動線とは、その家に暮らす人間の行動パターンのこと。それを洗い出せば自然にモノの定位置は決まってくるという。
「まず大切なのは家の中で家族がどういう行動をとっているか、動きの流れを俯瞰することです。それが見えればどこにムダがあって、家具の置き場所をどこにしたら適切かなど、動線に合った収納がわかるようになってきます」
今回、宇高さんが訪ねた志賀邸は見た目にはきれいに片づいていても動線にムダがある。
たとえばキッチン。シンク下の収納に食器が入っていて屈まないと取り出せないし、弁当作りの道具はバラバラにしまってあり、あちこちへ動くことになるなどロスが多い。
「正しい動線上に収納があれば“出しっぱなし”も減り、無意識に散らかることが避けられます。さらにムダをなくしてスムーズに動ければ家事の効率も上がる。生活動線を整理して、快適に暮らせるモノの配置を考えましょう」
【キッチン】行動の流れを考えず、 使用頻度も無視した収納。
全体的に配置が残念。出入りや着替えの際の、不自然な動きがストレスに。
志賀邸は2階建て4LDK。40代の夫妻と小学校1年の娘の3人家族。主な生活の場は、LDK、バス・トイレなどがある2階だが、動線に問題が。
「階段からの出入り口をソファが塞いでいるため、洗面脱衣室を通らないとリビングに行けません。お客様もここを通るしかないんですよね」
と宇高さん。娘の真優香ちゃんの友だちが大勢で遊びに来ることも多く、時に洗面脱衣室で渋滞が起きてしまうことも。
【リビング】家族団らんに欠かせないが、リビングの扉を塞ぐソファ。
さらに収納の配置にも難あり!
「なぜかダイニングテーブルの奥に娘さんの衣類・文具収納があり、さらに洋室にも子ども用のロッカーたんすが。着替えるたびに部屋を行ったり来たりすることになり、効率が悪いです」
スッキリ整理できているように見えるキッチンも、動線に合わない収納がやはり不便。いかに改善していくか?
【ダイニング】 ダイニングの最も奥に 子ども用の収納家具が。
【収納】娘の衣類がクローゼットやロッカーたんすに分散。
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