猫と暮らす家の掃除法を、プロが伝授します。
撮影・青木和義 文・後藤真子
猫を飼っている人の悩みは、掃除してもまたすぐに部屋に舞い散る猫の毛、そして飼い主はいつの間にか慣れてしまっているかもしれないニオイ。その悩みをどうしたらいいか、専門家の立場場からアドバイスをしているクリーンプロデューサーの植木照夫さんに、猫と暮らす家の掃除法を猫のたくさんいる猫カフェで伝授してもらった。
「掃除を始める前には、換気と整理整頓が大事です。24時間換気がベストですが、難しい場合はキッチンのレンジフードの換気扇を一定時間回しながら窓を少し開けるなど、機械換気と自然換気をうまく併用してください」と植木さん。床や棚に出ているものは片づけて、あらかじめ掃除機をかけやすいようにするのも作業の効率アップの秘訣だ。「掃除の順序は『上から下へ』です。エアコンや棚、照明器具の上の埃とりから始め、エアコンのフィルター、キャットタワー、床へと下りていきます。窓のサッシの溝や障子枠など空気の通り道になっている所も、猫の毛や埃がたまりやすいので見逃せません」
使う道具は化繊のはたき、掃除機、ペンキ用の刷毛、ゴム張り軍手、綿の軍手、布、靴洗い用ブラシ、メラミンスポンジ、マイクロファイバークロス、食器用中性洗剤など、手に入りやすいものばかり。なかでもペンキ用の刷毛は大活躍する注目アイテムだ。
「汚れを予防する住まい方を考えるのも大切です。猫のブラッシングをまめにして抜け毛が落ちるのを防いだり、猫トイレの置き場所を工夫したり。現在の状態が最善と思わずに、空気の通り道とニオイの元の位置関係など、住まい方を見直してみてください」
高い所に積もる毛や埃は、柄の長い化繊のはたきで。
上から下へ進める掃除のスタートは、高い所に積もる埃や猫のアンダーコート(内側の毛)。まずは化繊のはたきの静電気でそれらを吸着しよう。「猫が飛び乗る場所はオーバーコート(外側の毛)も落ちているので、はたきで足りなければハンディ掃除機を使いましょう」と植木さん。
エアコンのフィルターにも猫の抜け毛はついている。
ふわふわと軽いアンダーコートはエアコンのフィルターにもたまっている。猫のいる家では一般的なペースより少し頻繁に掃除をするのがおすすめ。とくに春と秋の換毛期は抜け毛が増えるのでフィルターの汚れ具合を見てみよう。掃除機と一緒にペンキ用の刷毛を使うのがプロの技。
あらゆる場所の乾いた汚れに刷毛と掃除機が大活躍。
ペンキ用の刷毛と掃除機は部屋中の掃除に使えるスーパーコンビ。「乾いた汚れは乾いているうちに取り除くのが原則です」。籐のかごや本の上、幅木や障子枠の上といった猫の毛と埃のたまった細かい場所は、刷毛でササッと汚れを掻き落としつつ掃除機で吸っていくと効率がよい。
キャットタワーの掃除には、ゴム張り軍手が強い味方。
猫たちの毛がたっぷりついてしまうキャットタワー。掃除機のかけにくいこの場所に植木さんが選んだ掃除グッズは、なんとゴム張り軍手だ。「綿の軍手でもいいですが、できればゴム張りのほうがよく取れます」。両手に装着し、なでるようにして、繊維にからんでいる毛を集めていく。
掃除機はヘッドの仕組みやメンテナンスの簡便さで選ぶ。
植木さんの掃除法で欠かせないアイテムなのが掃除機。「吸引力も大事ですが、ごみが捨てやすい、メンテナンスがしやすいという点も考えて選ぶといいですよ」。ペットの毛がすぐたまるので、同じサイクロン式でもごみを捨てる操作がワンタッチでできるなど簡便なものが望ましい。
『クロワッサン』939号より
●植木照夫さん クリーンプロデューサー/住宅やビルの清掃を行うベスト株式会社代表取締役。動物好きで、ペットと暮らす住まいの問題解決に取り組んでいる。
広告