『旅して学ぶ台湾』赤松美和子、洪 郁如、胎中千鶴、山﨑直也、劉 彦甫 著──旅心をくすぐる台湾の通史と関連観光スポット
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
若い世代向けのレーベルの本だが、大人でもためになる。岩波ジュニア新書ってそういう本が多い気がする。これは台湾を訪れる若者のために、5人の著者がその先史時代から現代までを解説し、関連スポットを紹介。旅のおすすめコースや細かな年表までついている。私も台北については、本書で言及されているいくつかの場所は憶えているが、今度また行く機会があったらこの本をちゃんと読み返して、台北以外の町にも行こう、と思った。
事実を羅列するだけでなく、それが起きた背景や市民感情などが伝わってくる。植民地時代の心理、民主化以降のアイデンティティの変化、政治に対する市民感情……。 2000年以降の流れも触れられているのが個人的に面白かった。TWICEの台湾人メンバーの謝罪騒動などに象徴される中台関係、コロナ禍時の政治の対応の素晴らしさ、世界最大の半導体受託製造企業の存在や、女性の立法委員(国会議員)の多さ、同性婚を認めるのが早かったこと等など、今の台湾を感じられる記述も多い。長い歴史を経て、今自分たちと同時代を生きている人たちがこの場所にいる、と感じさせてくれる。教科書とは違う学びがある。
『クロワッサン』1171号より
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