【映画監督・ケン・スコットさんに聞いた】母という絶対的な味方と“推し”が示す人生の歩き方 ──映画『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』
撮影・シム・ギュテ 文・兵藤育子
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母親とはなんとタフで、身勝手で、慈愛に満ちているのか。『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』が、フランスをはじめ世界各国でヒットしたのは、誰もがそこに普遍的な母親像を見たからだろう。原作の自伝的小説と出合ったときの興奮を、ケン・スコット監督はこう振り返る。
「一読して、本を机に置く間もなく、また最初から読み直すくらい夢中になってしまいました。なぜならそこには人間ドラマとしてのあらゆる要素が詰まっていたし、何よりコメディとしても優れていたからです」
1963年、6人兄弟の末っ子としてパリで誕生したロランは、足首が内側にねじれてしまう内反足と診断される。ひとりで歩くことはできないと医師に言われるものの、母エステルだけは希望を捨てず、息子のためになりふり構わず奔走する。
「エステルはものすごくエネルギッシュな半面、過剰さが欠点でもあるのですが、不完全な人物ほど興味を惹かれてしまうものです。私は彼女を、道徳的に正しいと思えるような母親にはしたくなかったし、やりすぎなくらいが真実に近く、むしろ正当な姿だと感じました。レイラ・ベクティはその大役を、見事に演じ切ってくれました。彼女にしかできない役だったと思っています」
内気な少年だったロランの強力な支えとなるもうひとりの存在が、タイトルにも冠してあるシルヴィ・バルタン。言わずと知れたフレンチ・ポップスの歌姫だが、自宅に閉じこもっていることしかできないロランにとって、彼女の歌声は外界との唯一無二の接点に。人生に前向きになれる究極の推しともいえるのだが、シルヴィ・バルタン本人が出演しているのも、見どころのひとつ。
「映画のもうひとつのテーマとなっているのは、アーティストが人の心に与える影響の大きさ。シルヴィは映画にもっと出てみたい思いがあったようで、このテーマにも共感して喜んで出演してくださいました。大スターなので、撮影現場は異様な雰囲気になっていましたが(笑)」
もうひとつ、監督が忘れられない撮影としてあげるのが、ロランの結婚式のシーン。100人ほどのエキストラの大部分が、“原作者ロラン”の家族や友人で、実際の結婚式に参列していた人も多かったそう。
「感動的な場面が蘇ると同時に、映画を撮っていることを忘れるくらい盛り上がっていました(笑)。おかげで美しいエネルギーを、しっかり再現できたと思います」
母親なしでは、人生という道を歩けなかった男性に起きた奇跡とは。誰かに生かされ、誰かを生かしている尊さを実感できる作品だ。
『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』
強烈な母の愛と大好きなシルヴィ・バルタンの歌が、歩けなかった人生に奇跡を起こした実話の映画化。1960年代のパリを再現した美術や衣装も必見。
原作:ロラン・ペレーズ
出演:レイラ・ベクティ、ジョナタン・コエン、シルヴィ・バルタン
5月15日(金)より東京・新宿ピカデリーほか全国公開。
『クロワッサン』1165号より
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