【植物園にいこう】植物生態学者・多田多恵子さんと草花や木々を愛でるお散歩へ
撮影・小川朋央 文・熊坂麻美
日除けや冷え対策にも便利なシアーカーディガン
コットン100%で軽くて涼しい素材ながら、日差しや冷房の冷えからもしっかり守ってくれるカーディガン。これから暑くなる季節に持っておきたい、心強い1枚です。
多田多恵子(ただ・たえこ)さん 植物生態学者。植物の繁殖戦略、虫や動物との相互関係などを調べる。ナチュラリストとしてフィールド観察会でも活躍。著書に『美しき小さな雑草の花図鑑』(山と溪谷社)など
「花を楽しむのはもちろん、海外の植物や絶滅危惧種も含めた珍しい植物を見ることができたり、写真ではわからない生態に触れて学名などの知識を深められるところが植物園の魅力です」と植物生態学者・多田多恵子さん。なかでも小石川植物園は、日本の近代植物学の原点とされる場所。由緒ある木々や江戸時代からの遺構が数多く残るほか、植物学の研究や絶滅危惧植物の保全にも力を入れている。
「たとえば、特定の小さな蛾と互いに依存して繁殖するオオシマコバンノキという植物がありますが、この『絶対送粉共生』と呼ばれる関係を、実物で紹介しているのは小石川植物園ならでは。こうした貴重な展示も見どころです」
園内にはサギやカワセミが訪れる水辺や日本庭園も配される。
「初夏は新緑、秋は紅葉と、来るたびに違う景色と出合える楽しさも。それほど混雑がなく、マイペースに回れるのもいいところ。まずは近場の植物園に出かけてみては」
訪れたのは…
東京大学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園)
1684年に徳川幕府が設けた「小石川御薬園」を前身とする日本最古の近代植物園。変化に富んだ広大な敷地を生かして、多様な植物が植えられている。東京都文京区白山3-7-1 開園時間9時~16時30分(入園は~16時) 月曜休 入園料500円
植物園だからこそできること① 「いつでも花が見られる」
花を愛でるのは、植物園に足を運ぶ楽しみのひとつ。春は桜、初夏はアジサイ、秋はヒガンバナなど季節の花に加え、温室では一年を通して何かしらの花が咲いている。
この日(3月上旬)に咲いていたのは…
大寒桜(おおかんざくら)
薄紅色の中輪の花で、ソメイヨシノより少し開花が早い。傘状に広がる樹形が特徴。
シナマンサク
「まず咲く」が語源の日本のマンサクより開花が早く、1~3月にリボン状の花が咲く。
椿/菊更紗(きくさらさ)
白地に紅色の絞り模様が入り、花弁が幾重にも重なり合うボリューミーな千重咲きが特徴。
椿/宝合(たからあわせ)
枝によって花の模様が変わる「咲き分け」が起こる珍しい品種。八重の蓮華咲き。
椿/曙(あけぼの)
淡い桃色の一重咲きで、お椀のようにふっくら開く。上品な花姿は茶席でも重宝される。
椿/荒獅子(あらじし)
深紅に白斑が入るドラマチックな色合いと、獅子のたてがみのような迫力ある花姿が魅力。
植物園だからこそできること② 「絶滅危惧種の貴重な植物を知る」
小笠原諸島の絶滅危惧植物を保護し、系統保存にも力を注ぐ小石川植物園。ムニンノボタンなど、公開温室で栽培している種類は見学もできる。
植物園だからこそできること③ 「日本では見られない植物も」
温室には、熱帯・亜熱帯地域の植物や日本では見られない種類も数多く並ぶ。植物の特性や最新の研究成果を紹介する展示も充実していて、学びながら楽しめる。
植物園だからこそできること④ 「スケールの大きな木がある!」
戦火をくぐり抜けたヒマラヤスギや、“パワースポット”として親しまれる樹齢300年以上のクスノキなど、歴史を物語る大木が現存するのも小石川植物園ならでは。
植物園だからこそできること⑤ 「科学史上の重要植物も目の前に」
植物学の世界的功績として残るイチョウとソテツの精子発見。実際に研究に使われたイチョウの雌株と、ソテツの分株を間近で見学できる。
『クロワッサン』1163号より
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