【街中の雑草編】植物生態学者・多田多恵子さんと草花や木々を愛でるお散歩へ
撮影・小川朋央 文・熊坂麻美
日除けや冷え対策にも便利なシアーカーディガン
コットン100%で軽くて涼しい素材ながら、日差しや冷房の冷えからもしっかり守ってくれるカーディガン。これから暑くなる季節に持っておきたい、心強い1枚です。
「普段何げなく歩いている道でも、実はさまざまな植物が観察できるんですよ」。そう話す植物生態学者・多田多恵子さんの案内で、東京都内の並木道へ。コンクリートの隙間や塀の足元に視線を落とすと、ツメクサやナズナ、オランダミミナグサ、ノボロギクなど、わずかな土の上でたくましく生きる雑草たちが点在していた。
「ここに生えているのは、人や風、雨粒、虫たちに運ばれたタネによって根づいた植物です。緑豊かな野山が乾いた街や空き地に変貌した都市環境は、日本の在来植物には生きづらく姿を消す一方で、海外から来た外来植物にはパラダイスとなり雑草として急増しました」
曇り空で少し肌寒い日だったが、しゃがんで目を凝らすと、小さな花があちこちに。多田さんは、タブレットにマクロレンズを装着して、花を拡大して見せてくれた。
「ちっぽけな雑草の花も、小さな虫には大きな花です。虫になった気分でホトケノザの正面顔を拡大して見てみると、ひらひらしっぽの金魚のランチュウみたい。キュウリグサの花は直径2mmほどと極小ですが、淡いブルーと黄色のコントラストがとっても可憐です。足元にこんな世界が広がっていると思うと、ワクワクしませんか? 厳しい冬を過ごしてきた雑草たちも、春は小さな花びらを広げます。気づいた人だけが味わえる“小宇宙”を、のぞいてみてください」
服装のポイントは?
長袖&長ズボンが基本。また、黒い服はスズメバチを引きつけるので避けたほうがよい。両手が空けられるカバンを選び、日差しの強い時季は、熱中症予防につばの広い帽子も。
あると便利なもの
ルーペまたはスマホ用マクロレンズ、筆記具、細かい部分や内部の観察に便利なピンセットと小さなハサミ、少し遠くの観察用に双眼鏡、長さや直径を測る定規、花や葉をノートに貼っておくためのマスキングテープなど。左端は60~120倍ズームできるハンディ顕微鏡。
マクロレンズがあると…
スマホやタブレット用のマクロレンズ(100円ショップでも買える)を使えば、植物にぎりぎりまで近づいて超拡大写真が撮れるだけでなく、ルーペ代わりにもなる。
街中の雑草編
都市部の街中にも、よく見れば植物たちがひっそりと息づいている。普段見過ごしがちな道の隅々まで目を向けて歩いてみよう。
雑草ってどこに生えてるっけ……?
舗道の隙間やベンチの足元、植え込みの縁には、雑草たちが集まる小宇宙が。日当たりや人通りといった環境の違いを意識して観察すると、それぞれの植物の特性も見えてくる。
こんな場所にも生えるの!?
水分や落ち葉が溜まりやすい木の洞に、風や雨粒、動物に運ばれたタネや胞子が発芽しているのを発見。写真はフラサバソウ。
“踏まれる場所”に合わせて育つ
人通りの多い舗道の敷石の目地で、隙間を埋めるように成長したツメクサ。厳しい環境だが敵や競争相手が少ない利点もある。
陰や隙間には湿気を好む植物が!
こんなコンクリートブロックの隙間に、観葉植物としても人気のアジアンタムが生えていた。湿気の多い場所を好むシダ植物だ。
ベンチの下は雑草パラダイス
人に踏まれにくく、ほかの植物との競争を避けながら光を得ることができるベンチの足元は、さまざまな雑草と出合えるポイント。
つつましやかな美しさを秘める雑草の花。直径数ミリほどの小さな花も多いので、目を凝らしてみよう。ルーペやマクロレンズで拡大すれば、色や形の多様さ、造形の繊細さに感激!
アブラナ(菜の花)
4枚の花弁からなる十字形の花で、直径1.5cmほど。鮮やかな黄色は、虫にとって“ごちそうのサイン”。
ホトケノザ
葉の上に筒状の唇形の花をつける。花びらと蜜で虫を誘うものと、つぼみの形のまま自家受粉する“閉鎖花”が。
キュウリグサ
葉をもむとキュウリのようなにおいがすることに由来。直径約2mmの花は中心を黄色に染め、虫を蜜へといざなう。
春先、可憐な花をつけるオオイヌノフグリやナズナ、タチツボスミレのほか、小石川植物園から都内に広がったコゴメイヌノフグリも発見!
図鑑とGoogleレンズを活用しよう
スマホやタブレットのカメラで写したものをそのまま検索できる「Googleレンズ」。特徴が一致する植物の名が表示されるので、それを手掛かりに図鑑で調べてみよう。知識が広がり、観察のヒントに。
『クロワッサン』1163号より
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