『咲良は上手に説明したい!』滝沢志郎 著──テクニカルライターの奮闘を描くお仕事小説
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
日除けや冷え対策にも便利なシアーカーディガン
コットン100%で軽くて涼しい素材ながら、日差しや冷房の冷えからもしっかり守ってくれるカーディガン。これから暑くなる季節に持っておきたい、心強い1枚です。
本好きにはもちろん、普段本を読まない人にも、自信を持って薦められる一冊。というか誰かれ構わず「これ面白いから絶対読め」と押し付けたい。商品の取扱説明書などを作成するテクニカルライターの物語だ。読めば自分とは無関係ではない仕事だと分かるはず。
悪天候でダイヤが乱れた横浜駅。ボードに書きだされた乗換案内は込み入っていて伝わりにくく、アルバイト駅員の咲良(さくら)も対応に追われていた。そこに現れた一人の女性が、瞬く間に情報を分かりやすく整理して書き直してみせる。それが咲良とテクニカルライター、浅倉響との出会いだ。咲良は彼女の勤務する会社の採用試験を受け、部下として働き始める。
扱うのはゴミの分別の案内といった日常的なものから、AEDの取扱説明書といった、人の生命に直接関わるものまでさまざま。どう説明すれば過不足なく、かつ、間違いなく人に伝わるのか。実例の図版もあり、読者も咲良と一緒に学んでいける。登場人物もみな仕事に熱くて魅力的。トリセツづくりがこんなエンタメになるのか、と驚くほど引き込まれた。私があちこちで本書を宣伝しているのは、シリーズ化してほしいから。読めばきっとあなたもそう思うはず。
『クロワッサン』1163号より
広告