この秋、高橋一生さんの声に導かれて、国宝の仏と向き合う【東京国立博物館 特別展・運慶 祈りの空間―興福寺北円堂】
その広報大使として、俳優の高橋一生さんが就任。音声ガイドも担当します。先日同館で行われた報道発表会でその思いを語りました。
文・クロワッサン編集部
鑑賞する人のノイズにならないように、導き手として静かに寄り添いたい
——本展は運慶が手がけたとされる国宝仏が一同に会する展覧会です。今回特に注目をしている像は?
無著(むちゃく)と世親(せしん)像ですね。悟りに至ったと言われる無著、それを見つめている世親。2つの空間の見つめかたの違いが、画像を観ていても感じられるので。本展では、その中央に弥勒如来坐像があるわけですから、空間ごとデザインしていた運慶の空間センスを観たいなと思っています。
——今回はナビゲーターとして展覧会の音声ガイドでも出演されますが、どういったことを意識しますか?
仏像と向き合う、鑑賞される皆さんは、像との間に静かな空間が流れていると思う。なのでなるべくそのノイズにならないように、かつ解説を超えて導き手になれるように、静かに寄り添うことができたらいいなと思っています。
——本展を楽しみにしている方にメッセージを。
仏像と向き合う時間というのは、鑑賞するというよりも、向き合ったり立ち会ったりする時間になると想像しています。静かに向き合う時間というものは、現代にとっての祈りの空間かもしれない。観に来てくださる皆さんもそういったことを感じてくれたら、と思っております。
興福寺北円堂とは、藤原不比等の追善供養のため、その一周忌にあたる721年8月に元明・元正天皇が長屋王に命じて建立されたと伝えられている円堂。1180年の南都焼き討ちののち1210年に再建。現存する興福寺の堂宇(どうう)のなかで最古の建物として国宝に指定されています。八角形のすがたは奈良時代の建築の特徴を残した和様建築の傑作として知られています。
本尊は国宝・弥勒如来坐像。両脇に控えるのはともに国宝の無著・世親菩薩立像。北円堂は通常は非公開ですが、修理完成を記念して約60年ぶりの寺外公開となりました。あわせて、かつて北円堂に安置されていて現在は興福寺の中金堂にある四天王像を合わせた7躯の展示が予定されています。
静謐な美しさの弥勒如来像と無著・世親像。躍動感ある力強さの四天王像。同じ空間で展示されたときの化学反応が見どころとなっています。
特別展「運慶 祈りの空間ー興福寺北円堂」
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2706
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