ドラマで話題のあの場所へ。自然と文化が共存する高知の旅。
撮影・太田太朗 文・保手濱奈美
やなせたかしさんゆかりの地を巡って。
高知県香美(かみ)市香北(かほく)町で生まれた、やなせたかしさん。
その場所、人、自然を訪ね、ルーツを探る旅へ。
香美市立やなせたかし記念館
楽しくて心温まるやなせ作品が大集合。
アンパンマンを生み出した絵本作家であると同時に、漫画家、詩人などさまざまな顔を持つやなせさん。「香美市立やなせたかし記念館」は、その多岐にわたる作品に触れられるミュージアム。大きく2つの施設からなり、上写真の「アンパンマンミュージアム」は、ここでしか見られない貴重なアンパンマンと仲間たちの絵でいっぱい。「詩とメルヘン絵本館」は、アンパンマン以外のイラストや詩など“大人なやなせさん”を深掘りできる。
●高知県香美市香北町美良布1224・2
TEL:0887・59・2300
営業時間:9時30分〜17時(最終入館16時30分) 火曜休
入場料1,200円
最寄り駅はJR土讃線・土佐山田駅。そこからJRバスに乗り換え、美良布(アンパンマンミュージアム)で下車、徒歩5分。
アンパンマンバスが運行。
大川上美良布神社(おおかわかみびらふじんじゃ)
32人の漫画家による天井絵ややなせさんの絵馬が拝観できる。
やなせさんが生まれた地域の氏神様。平安時代創建ともいわれるこちらの社は、地元を応援したいというやなせさんの故郷愛が随所に滲む。社務所の天井には、32人の著名な漫画家による描き下ろしのイラスト(上写真)が飾られているが、そのきっかけはやなせさんのアドバイスによるものだったという。また、拝殿にはやなせさん直筆の世界に一つしかないアンパンマンたちの絵馬が飾ってあり、特別感たっぷり。
●高知県香美市香北町韮生野243
TEL:0887・59・2878
美良布(アンパンマンミュージアム)バス停より徒歩約1分。
天井絵を奉納した漫画家は、地元出身のおかもとあつしさん、植田まさしさん、萩尾望都さん、ちばてつやさんなど。
物部川(ものべがわ)
今も昔も変わらぬ姿で、地元の人たちに親しまれる。
香美市の白髪山を水源とする物部川。やなせさんが、地元合唱団のために1999年に贈った「香北讃歌」には、物部川を「あおくきらめく」と表現する歌詞があることからも、地元の人にとってなじみの深い風景であることが窺える。香美市立やなせたかし記念館周辺の物部川はおだやかだが、上流は山岳地帯で地形が急峻。県の天然記念物に指定されている轟の滝は、高知でも指折りの景勝地。訪ねるエリアによって、さまざまな表情が楽しめる。
⚫︎おすすめ立ち寄りスポット
韮生(にろう)の里
おみやげに食事に……。名物とも出合える直売所。
香美市立やなせたかし記念館の向かいに位置する道の駅美良布の直売所。地元の新鮮な野菜や、おみやげにぴったりのお菓子が並ぶほか、食事ができる「キッチン韮生の里」も併設されている。
●高知県香美市香北町美良布1211
TEL:0887・59・3156
営業時間:7時〜17時30分、キッチン韮生の里9時〜16時
手作り和菓子「玄米かるかん」が人気。
TOSACO TAP STAND(トサコ タップ スタンド)
物部川を眺めながら、クラフトビールで乾杯!
物部ゆずや土佐文旦など、高知の素材を副原料に、“おいしい高知”がビールとなって存分に味わえるスタンド。醸造所に併設されているため、いつでもフレッシュな1杯が愉しめるのもうれしい。
●高知県香美市香北町橋川野584・1
TEL:0887・59・2633
営業時間:木・金16時〜21時(20時30分LO)、土・日・祝日11時〜18時(17時30分LO) 月・火・水曜休
風光明媚な地元の列車で高知を巡る。
東西に長い高知県。その移動に便利な4つの路線の車窓に広がるのは、山、川、海の大パノラマ。各路線の名物列車も旅の楽しみ。
JR 土讃線(どさんせん)
起伏に富んだ大自然を堪能できる。
高知から徳島を抜け、香川を結ぶ土讃線。窓外に望むのは、讃岐山脈や四国山地、吉野川、太平洋など。山、川、海の雄大な景色を余すところなく楽しむことができる。沿線には、国の特別天然記念物の「杉の大スギ」を擁する大豊町の八坂神社や、香美市立やなせたかし記念館が。やなせさんの故郷である香美市を走るこの路線には、「アンパンマン列車」も運行。子どもはもちろん、大人も笑顔がほころぶかわいらしさで大人気。
JR 予土線(よどせん)
ユニークなラッピング列車で四万十川を並走。
予土線が結ぶのは、高知と愛媛。日本最後の清流とも呼ばれる四万十川沿いを走ることでも知られている。川底が透けて見えるほど美しい水面を、並走しながら眺める贅沢さ。この路線は、トロッコ車両が連結された「しまんトロッコ」(上写真)など、特色豊かな6種類のラッピング車両が走ることでも人気。沿線にホビー館が立つフィギュアメーカー・海洋堂の「海洋堂ホビートレイン(かっぱうようよ号)」には、車内にフィギュアの展示もあり。
土佐くろしお鉄道 ごめん・なはり線
やなせさん考案キャラクターがお出迎え。
高知の東側を走るごめん・なはり線は、21駅それぞれに、やなせさんとやなせスタジオ作のオリジナルキャラクターがいるというスペシャル感。イラストやモニュメントになっているので、各駅を降りてコンプリートしたくなる。途中、あかおか駅には全キャラクターが勢ぞろい。また、この路線には、オープンデッキの「しんたろう号・やたろう号」が走行。心地よい海風を感じながら、太平洋をゆったり眺めることができる。
土佐くろしお鉄道 中村・宿毛線(なかむら・すくもせん)
雄大な四万十川を列車で渡って自然豊かな高知を西へと旅する。
高知の西側を走る中村・宿毛線。そのキャラクターとなっているのが、やなせたかしさん作の「サニーくん」と「サンコちゃん」。モチーフは宿毛湾で見られる“だるま夕日”とのことで、おだんごを2つ重ねたような姿が愛らしい。ラッピング列車や、地元のイベントなどで大活躍。車窓の見どころは、中村駅と具同駅の間を通る際に、眼下を流れる四万十川。また、土佐湾や、のどかな田園風景にも心癒やされる。
高知の最新情報は、「どっぷり高知旅」をチェック。
高知の魅力に“どっぷり”浸るなら、地元の人だからこそ知るとっておきの情報が満載のこのウェブサイトへ。最新グルメや、絶景、アクティビティなどのほか、高知のディープな楽しみ方まで、旅の選択肢が広がる!
『クロワッサン』1139号より