“京都の今”を味わうおまかせ1本の最旬店
長年、京都の食を取材してきたライター・中井シノブさんが、京のいまを映すおまかせ1本の店を選りすぐって紹介。
撮影・東谷幸一 文・齋藤優子
祇園・白川|水の
緩急自在に繰り出す、温故知新のおまかせ
「新しい京料理界を引っ張ってきた『祇園 さゝ木』の佐々木浩さんの背中を17年間見てきた水野隆弘さんが店主。大将譲りのパフォーマンスを取り入れながら、本格的な京料理を出しています」
ババンと目の前で豪快に伊勢海老を捌くと、餃子鍋で殻ごと蒸して半生に仕上げ、一皿に。一見洋風な佇まいだが、実は古くからの料理、具足煮(ぐそくに)である。しかも、桃の節句にちなんでの粕汁仕立て。
昔ながらの調理法や行事食が好きだという水野さんは、筍と蛤の直球のお椀で勝負したかと思えば、ライブ感たっぷりのいま風具足煮で盛り上げる。長年集めているという骨董の器で、緩急自在に繰り出されるおまかせは、実に楽しい。
京都市東山区中之町245・2
TEL.075・746・5352
営業時間:18時〜21時(土曜のみ12時〜15時あり) 日曜、第2・4月曜休
18時一斉スタートで、2万5000円のおまかせ1本のみ。骨董商、古美術商が軒を連ねる新門前通に。
『クロワッサン』1137号より
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