書店は思考のセレクトショップ 角田光代さんが本屋で過ごす豊かな時間
昔ながらの書店が減る一方で、魅力的な書店も全国で増えている。本をめぐる著作をもつ作家・角田光代さんに、通う書店とその理由を聞いた。
撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・遠藤芹菜 文・長谷川未緒
今野書店(西荻窪)
西荻窪在住歴30年の角田光代さんが、身近な新刊書店として足繁く通っているのがこちら「今野書店」。駅から近く、地元の人のみならず、最近は西荻窪のグルメが注目されていることもあり、食べ歩きのついでに訪れる人も増えている。
「週に1、2回は足を運び、新刊と料理の棚、雑誌もひととおり見て回っています。ベストセラーをただ並べているのではなく、お店の人が本のセレクトをしっかりされているので、書店の体温を感じるんですよ。地域の本や書評で取り上げられた本、短歌フェアや猫の本フェアなどいろいろやっていて、ひとつひとつに温かみを感じます」
西荻窪に唯一残る新刊書店で、コミックから学習参考書など何でもあるが、中でも、人文系、外国文学は充実している。
また、本の並べ方にも特徴が。一般的な書店では雑誌と書籍は別に並べていることが多いが、今野書店は、料理なら料理、健康なら健康と、カテゴリーごとに雑誌も書籍も同じ棚に並べている。動線が良く、興味のある分野を見落とさずに済むと評判だ。
「本って“呼ぶ”んですよ。その時の自分に必要な本は、向こうから呼んでくれます。でもその呼ぶ声をキャッチする感覚は、書店に通って鍛えておかなければなりません。今野書店さんをはじめ、本がきちんと選書されているところは感覚を鍛えられるし、呼ぶ声にも気づきやすいと思います」
今野書店(西荻窪)
東京都杉並区西荻北3・1・8
TEL.03・3395・4191
営業時間:10時~22時 無休
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