みんなの介護の「困った」を解決!介護中の身だしなみ、お手入れで見落としがちなことは?
撮影・中島慶子 イラストレーション・山田美津子 文・殿井悠子
Q. 介護中の身だしなみ、お手入れで見落としがちなことは?
A. 頭や皮膚の乾燥には保湿、巻き爪はフットケアの専門家に相談を
「バリア機能が低下した高齢者の肌は乾燥しているので、スキンケアやヘアケアをせずに放置しておくと、痒くなって皮膚を掻き壊してしまいます。なめらかさも失われている皮膚は傷つきやすく、細菌が入り込んで炎症が起きる蜂窩織炎(ほうかしきえん)になると、患部がパンパンに膨れ上がってしまうことも。そこから感染症や床ずれといった新たな疾患が出ることもあります」
デリケートな皮膚を守るために、洗髪したり体を洗ったりするときの洗浄剤は、弱酸性を使うこと。お湯は40度以下に設定し、入浴時間は15〜20分程度が望ましい。
シャンプーの洗い残しは痒みのもとなので、しっかりと髪の根元から洗い流す。体を洗うときも強くこすらず、タオルを柔らかく当ててあげるくらいのイメージで。仕上げには必ず保湿をしっかりする。
「高齢者は体がうるおう力も低下しているので、高齢者向けの保湿クリームなどで補ってあげましょう。ベビーローションでも充分です」
また、女性に多い外反母趾は、歩行時のバランスが崩れるので、親指などの特定部分に過度な負担がかかったりして、巻き爪が発生しやすくなる。
「爪白癬(つめはくせん)も爪が変形して分厚くなるので、皮膚に食い込んだりすると巻き爪の原因になります。巻き爪は放っておくと、痛みで歩けなくなるばかりか、敗血症など深刻な疾病につながることもあり、実は怖い病気なんです。自然に治るものではないため、まずはフットケアの専門家に相談して履きやすい靴に替えてみたり、在宅介護の人は訪問看護師さんにケアの方法を教わったりして、症状の緩和・改善を目的とした保存的治療を行ってみましょう」
『クロワッサン』1134号より
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