調理法や盛りつけ、市販品の活用——介護の食をおいしく支える8つのヒント
撮影・青木和義 スタイリング・渡邊美穂 イラストレーション・fukucoco 構成&文・薄葉亜希子
4. 誤嚥の心配には……“よい咀嚼”が鍵になる
噛む力や飲み込む力が衰えると、飲食物が気管に入る誤嚥の心配も。
「多くの方がお茶を飲んでむせた経験があるのでは?実は若い人でも誤嚥するのですが、免疫力で抵抗できているんですね。高齢者の場合は誤嚥性肺炎のリスクもありますから、誤嚥を防ぐ、よい嚥下には“よい咀嚼から”と覚えてください」(齋藤さん)
ではよい咀嚼とは?齋藤さんいわく、適切な咀嚼は体にもいい影響が。
「咀嚼とは食べ物を噛み砕き、すりつぶしながら、唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすくすること。料理をおいしく味わえるのはもちろん、口腔環境の改善などさまざまな効果をもたらします」
それには咀嚼を助ける食事が欠かせないが、食べやすい=細かく刻むと考えるのはちょっと待って、と続ける。
「細かすぎると大切な噛む動作を奪ってしまい、口の中で細かくした食べ物が散らばり、かえって食べにくい場合も。よく噛んで食べることが食べる力を保つ最良の方法です。その人の噛む力に合わせて適度な大きさを残し、繊維を断ち切る、やわらかく加熱するなどのひと手間を加えるといいですね」
咀嚼は全身の健やかさにつながる
・消化吸収をアシストする。
・噛むことで脳が活性化。
・脳が働き、集中力もアップ。
・自浄作用で口腔内が清潔に。
・咀嚼筋が動くと全身の筋肉の活動量も増える。
お口の体操で食べる力をキープ!
5. とろみづけで飲み込みを助ける
飲み込む力が落ちてきたときは食べ物にとろみをつけるのも有効だ。
「あんかけやマヨネーズ、練りごま、豆腐の白和えなど口の中でまとまりをよくし、飲み込みを助ける“つなぎ役”の食品を取り入れて。栄養やエネルギーもプラスできます」(中村さん)
さらにとろみ剤は温かくても冷たくても混ぜるだけで簡単にとろみをつけられるため、あると便利。
「脱水予防に水分を摂ってほしいものの、飲み込む力が衰えるとのどをさらさらと流れる液体は誤嚥しやすく、実は危険。ただとろみが強すぎると味が変わったり、飲み込みに強い力が必要になったりと飲みにくくなるので、ごく薄いとろみから始めてその人に合ったとろみ加減を探します」(齋藤さん)
やさしい献立 とろみファイン
トロミアップ やさしいとろみ
とろみのつけ方
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