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無理のない遠距離介護の体制づくりーーいざというときのための道具とサービスを知る

離れて暮らす親の介護と自分の生活を両立する方法はある。遠距離介護を始めるためにやっておきたい準備や無理なく続けるコツを川内潤さんに聞いた。

イラストレーション・姫田真武 文・中嶋茉莉花

介護認定を受けていてもいなくても、急なケガや認知能力の低下など、介護に突発的な問題はつきもの。対応に迷ったら、まずは地域包括支援センターに相談が基本。

時間外の場合もあるため、家事代行や配食、警備や火災予防など頼れる先をいくつか知っておくと慌てずに済む。道具やサービスのおかげで、親元に出かけることなく、トラブルを解決できる場合も。

「ただし、あくまで親の緊急時や生活に支障が生じた場合の利用に留めます。親の行動制限や生活管理を目的としないようにしましょう。利用を決めるにあたっては、親の意思を確認、承諾を得た上で、親が払える範囲内で選ぶこと」

家事全般

頼れるサービスは公的・民間とさまざま。

「家事の代行だけではなく、例えば料理や趣味のための外出など、親が自分でやりたいことを手伝ってもらうという活用方法もあります」

イチロウ
24時間365日利用できるオーダーメイドの介護サービス

介護や看護の資格をもつヘルパーが、食事、排泄、入浴の介護や通院介助、さらに調理や掃除などの家事もオーダーメイドで提供。最短当日対応可。

料金は時間単価×利用時間+交通費。首都圏では、1時間3,190円〜。介護保険適応外の内容も柔軟に対応。(イチロウ TEL.0120・774・616)

ベアーズ「アクティブシニアサポート」
専任のスタッフが訪問、1時間から気軽に頼める

掃除や洗濯、料理など、家事の手伝いや外出・病院の付き添いをはじめ、クリーニングの受け取りまで、依頼者の希望に寄り添って日常生活のサポートを行ってくれる。専任のスタッフによる定期プランもある。

週1回・1時間、月額3万272円。スポット利用は、1時間8,140円。(ベアーズ TEL.0120・552・445)

シルバー人材センター(自治体)
ちょっとした困りごとを低価格でお手伝い

区市町村ごとに設置されている公益法人。地域によっては、日常生活で生じる専門的な技術を要しない困りごとを、シルバー人材センターの会員が手伝ってくれる。

電球の取り替え、カーテンの取り替え、軽い家具の移動など、1回につきおよそワンコイン程度で利用可能。仕事内容や金額は各地区のセンターに確認を。

配食サービス

台所に立てない、調理に不安があるといった時は、弁当やおかずの宅配が便利。「作り立てが届く、手渡しで安否確認もしてくれる先がおすすめ。自治体経由で利用できるものも」

まごころ弁当
日替わりの弁当を毎日、毎食ごとにお届け

高齢者専用に作られたお弁当。「普通食」は、1食に16品目前後の食材を使い、450~550kcalが目安。ほかに、リーズナブルな「小町」をはじめ、「ムース食」、「糖質カロリー調整食」「たんぱく調整食」など5種類ある。1食から注文可能。345円〜。(シルバーライフ

「普通食」(上)と「ムース食」(下)
「普通食」(上)と「ムース食」(下)

ワタミの宅食
担当スタッフが対面で話して体調や生活状況を確認

配達時に対面で会話し、異変があると親族に連絡する「みまもりサービス」が3月にリニューアル。バランスと味にこだわった弁当は6種類。

人気は400kcal程度の惣菜「まごころおかず」(690円)。「まごころ小箱」(590円)は食が細い人向け。「みまもりプラン」月額1,000円〜。(ワタミ TEL.0120・321・510)

「まごころおかず」(上)と「まごころ小箱」(下)
「まごころおかず」(上)と「まごころ小箱」(下)

見守り

「どんなに不安があろうとも、監視されていると思うと心理的負担になりかねません。ある程度、親のプライバシーを守ることができ、ゆるく見守れるサービスを選ぶとよいでしょう」

HOMEALSOK(ホームアルソック)「みまもりサポート」
いざというとき、警備員が駆けつける!

急な体調不良時などに、非常通報装置緊急ボタンを押すと警備員が駆けつけ、事前登録した持病・かかりつけ医の情報を救急隊員に伝えてくれる。看護師に健康相談ができ、熱中症リスクを音声で注意喚起する機能も搭載。ペンダント型緊急ボタンもある。月額3,069円〜〈ゼロスタートプラン〉(ALSOK TEL.0120・39・2413)

無理のない遠距離介護の体制づくりーーいざというときのための道具とサービスを知る

Amazon Echo Show 5
離れていてもシンプル操作で手軽に顔を見て話せる

パーソナルAIアシスタント「Alexa(アレクサ)」搭載のディスプレイ付きのスマートスピーカー。対応するデバイスを使っている相手同士で、簡単な操作でビデオ電話が可能。お互いの顔を見ながらの会話は安心にも繋がる。普段は置き時計として活用。音楽もかけられる。1万2980円(Amazon Echo Show 5

まもりこ
プライバシーに配慮して生活リズムを知る

冷蔵庫に設置した端末がドアの開閉を検知。一定時間動きがないと、スマホアプリに異変の知らせが届く。親子双方に負担をかけず、ちょうどいい距離感を保って安否確認ができる。冷蔵庫を開閉した時間も確かめられ、追加料金なしで夫婦や兄弟、複数人で見守りも可能。ネット回線は不要。本体1万3200円、月額550円(初月無料)(ネコリコ mail:info@ecolico.co.jp)

無理のない遠距離介護の体制づくりーーいざというときのための道具とサービスを知る

見守りネットワーク(自治体)
地域住民がさりげない見守り役に

区市町村ごとに、地域全体で一人暮らしの高齢者を見守る仕組みがある。事前に登録しておくと、地域の人や見守り協力事業者が日常業務の中で高齢者の異変などに気が付いた際、声掛けにより安否確認を行ったり、地域包括支援センターに連絡してくれる。また、徘徊による行方不明時には連携して捜索し、早期発見に繋がる場合も。

防犯・火災対策

「親が一人でも安全に暮らし続けるために、火事や犯罪には備えておきましょう」。ちなみに火災警報器の寿命目安は10年。こちらも確認を。助成金が出る自治体もある。

パナソニックのシニアモデル電話機
かけ直し時にも注意喚起して詐欺を防止

多発する振り込め詐欺や架空料金詐欺の対策ができる電話機。電話帳に登録のない相手からの着信中や通話中には赤色LEDが点滅。電話に出る前に注意喚起のアナウンスが流れたり、登録のない先にかける際には音声で警告してくれる。VE-GE19DL 1万3860円(パナソニックご相談窓口 TEL.0120・878・983)

無理のない遠距離介護の体制づくりーーいざというときのための道具とサービスを知る

KEY STATION「シニアサポートプラン」
キーボックスより安全にスペアキーを管理

緊急時のための鍵の保管場所「KEY STATION」。駅や介護施設、コインランドリーに設置されたボックスに鍵を預けておき、使用時にWEB管理画面内でパスワードを取得。介護事業者など、鍵を渡したい相手に共有すれば無人で受け渡しできる。取り出し履歴も管理画面で確認可能。月額270円〜(キールズ TEL.03・6451・1524)

リンナイ「SAFULL+(セイフルプラス)」
慣れ親しんだガス火を安心して使い続けられる

シニア世代に特化したガスコンロ。間違え防止のわかりやすいカラーリングや、弱火も見えやすい大型五徳、聞き取りやすい音声案内に加え、鍋がないことを検知したり、消し忘れを自動消火するなど、ガス火調理の不安を解消する機能が随所に搭載。23万1000円(リンナイお客様センター TEL. 0120・054・321)

無理のない遠距離介護の体制づくりーーいざというときのための道具とサービスを知る
  • 川内 潤

    川内 潤 さん (かわうち・じゅん)

    NPO法人「となりのかいご」代表

    誰もが自然に親の介護に向かえる社会の実現に奮闘。著書に『わたしたちの親不孝介護 「親孝行の呪い」から自由になろう』(日経BP)ほか。

『クロワッサン』1134号より

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