相島一之さんインタビュー 三谷幸喜率いた人気劇団が30年越しの約束を守り復活
撮影・小笠原真紀 ヘア&メイク・国府田雅子(b.sun) 文・黒瀬朋子
誰もが認めるコメディの名手・三谷幸喜さん。三谷さんの創作の原点ともいえる劇団「東京サンシャインボーイズ」は人気絶頂の中、1994年に惜しまれながら、30年間の充電期間に入った。実質の解散と誰もが諦めていたところ、今年復活を果たし『蒙古が襲来』を上演する。
「本当に実現できることになって、僕らもうれしいです!」
満面の笑みで語る相島一之さん。今やテレビや映画、舞台で多忙な俳優たちが再集結するのは至難の業だ。
「プロデュース公演と違い、劇団公演ですから、誰かが“嫌だ”と言えばできなくなる。そうならないよう、少しずつ根回しをしました(笑)」
実現の可能性が見えたのは15年前。劇団のホームグラウンドだった新宿シアタートップスの閉館イベントへの参加がきっかけ。当時、相島さんは病気療養中だったにもかかわらず、三谷さんほか全員に働きかけ、12日間だけの復活公演を叶えたのだ。
「15年ぶりに集まれたとき、全員が本当に楽しかったんです。稽古も10日間とすごく短かったのですが、阿吽の呼吸を取り戻して、“この人たちは本当に面白かったんだ!”と改めて思い出しました。三谷のホンを演じるのに最高のメンバーなんです」
現在残る劇団員の中では梶原善さんに次いで2番目に古い相島さん。
’87年に三谷さんに声をかけられて入団した。『12人の優しい日本人』や『ショウ・マスト・ゴー・オン』など、後年、繰り返し再演されるような傑作を次々生み出し、劇団が成長していく様をつぶさに見てきた。
「最初の頃は、みんなで楽しくお芝居を作る劇団だったんです。それがだんだんとプロの俳優を志すやつらの集団に変わっていった。三谷の脚本も、最初は読むだけでケラケラ笑えるようなものだったのが、読むだけではわからないけれど稽古をすると笑えるもの、お客さんを目の前に演じて初めて笑いが生まれるものへと変化していきました」
人々の必死の姿に笑いや悲哀が生じる、魅力的な群像劇が誕生した。
「三谷は全員に当て書きをします。この人のこんな面を見せたらもっと面白くなるということをいつも考えている。役者にとって、こんなに幸せなことはありません。『蒙古が襲来』はまだホンもできてないし、稽古もこれからだけど(取材時)、楽しみでしかないです。ただ、三谷の脚本は“お前の100%を見せてみろ”と常に要求をしてきます。今回は全国ツアーも含め65公演もある。30年分歳はとっているので、100%を出し続けて体がもつのか、それだけが心配。とはいえ、出し切らないわけにはいかないんですけどね(笑)」
パルコ・プロデュース 2025 東京サンシャインボーイズ 復活公演 『蒙古が襲来 Mongolia is coming』
作・演出:三谷幸喜
出演:相島一之、阿南健治、伊藤俊人、小原雅人、梶原善、甲本雅裕、小林隆、近藤芳正、谷川清美、西田薫、西村まさ彦、野仲イサオ、宮地雅子、吉田羊
東京公演:2月9日(日)〜3月2日(日)、PARCO劇場。全国公演ツアーあり。
1月31日(金)〜2月2日(日)、新宿シアタートップスにて、東京サンシャインボーイズ復活記念イベントも開催。
『クロワッサン』1133号より
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