地震ではこんなことが起きる! どんな備えが必要?
イラストレーション・太田マリコ 構成&文・中條裕子
地震ではこんなことが起きる!
まずは身の安全の確保が大切に。
部屋に置いたタンスなどの家具が倒れてくる。
地震が起きたときの負傷の原因は部屋の中にある、と国崎さん。
「地震は起きる前提でシミュレーションをしながら、置いている家具は転倒防止対策をしておくことが基本。家具を固定しておけば、逃げる時間を稼ぐことができます」
そして、モノを持ちすぎている人が多いのでは、という指摘も。
「地震が起きた際、今いる部屋に置かれた家具が倒れてきたりモノが自分に向かって飛んできたりして、怪我を負った姿をイメージしてみてください。必要ないものは部屋に置きたくなくなります。キッチンのお皿なども地震の際は凶器になる。私は引き出し一つに収まる枚数しか持っていません」
自宅でトイレや浴室に閉じ込められる。
トイレ、風呂は閉じ込められる前提で準備しておくことが必要。
「風呂にはすぐはおれるバスローブを、防水の袋に入れて置いておくといいでしょう。ほかに、携帯や助けを呼ぶためのホイッスルも一緒に。私は普段からタオルではなくバスローブを使っていて、これも防災グッズだと常々言っています」
確かに、裸で逃げるわけにいかないが、体を拭いて服を着るといった悠長なこともしていられないはず。
「私はトイレにも、便座にかける便袋、止血パッド、ホイッスル、ゼリー飲料などを置いています。怪我したり閉じ込められるかもしれないという最悪の場合を考えて、最低限の備えをしておくと安心です」
エレベーターが止まってしまう。
地震が発生したとき、どこで何をしているかわからないのも不安のひとつ。もしもエレベーターに乗っていたら、どうしたらいい?
「まずは閉じ込められないように全ての階数ボタンを押してください。そこで開いた階があったらすぐに降りて、非常階段で逃げるようにして。閉じ込められても困らないように、持ち歩くバッグに防災グッズを入れておくのもいいでしょう。私は日頃から、外出時にはモバイルバッテリー、携帯トイレ、ヘッドライト、ホイッスル、止血パッド、ゼリー飲料などをポーチに入れて持ち歩いています」
地震の後の通電で、火災が起きてしまう。
地震の後では多くの地点で同時に火災が起きることが多く、その対策もぜひ考えておきたいところ。
「近年の災害でリスクが高まっているのが通電火災です。たとえば、アイロンを使っているときに強い揺れに襲われ、電気が止まるとします。その後、停電から復旧して倒れたままのアイロンに通電すると、火災の原因になってしまう。そうした通電火災を防ぐためにも、避難するときにはブレーカーを落とすことを忘れないでください」
外出先で看板など上からモノが落ちてくる。
市街地などでは、強い揺れによる落下物が大きな脅威になる。
「ガラスとかタイル片、コンクリート片、看板、室外機など、上から降ってくるものがあることを忘れないで。上を見て落ちてくるようなものがあれば、持っているバッグで頭をカバーしてその場を離れる、これに尽きます。とにかく頭を守ることが何よりも大切」
水道、電気、ガスといったライフラインが止まる。
いつ起こるかわからない地震に備え、一度、家でキャンプをする感覚で、すべてのライフラインを止めて過ごしてみるのもおすすめ。
「災害時の生活の疑似体験ができ、必要なものがわかります。灯りはどうする?ご飯は?歯磨きは?など、考えるきっかけにも。ご飯は冷蔵庫のものから使おう、灯りは携帯だとすぐ電池消費するからランタンがいいね、など実体験からわかることがある。防災トイレも試して、一般ゴミとして捨てられるか確認しておくといいでしょう」
どちらが正しい?
電車に乗っている時に地震。
⚪︎ 揺れが収まっても外には出ない。
× なるべく早く電車から離れる。
駅にいた場合、電車が止まっていたら車内にいる、入るのが最善策。
「ホームには案内板など落ちてくるものがたくさんある。地震直後に目の前に電車があったら、飛び乗って揺れが収まるのを待つようにして。その後に駅員さんの誘導に従って動くのがいいと思います」
食事の支度中に強い揺れ。
⚪︎ 何があってもガスの火を消す。
× ガス台から離れて安全な場所に移る。
非常時にはガスが自動的に停止する機能があるため、地震発生時は何もする必要はない。
「とにかく、身の安全を優先すること。キッチンから離れて何も置かれていない廊下に避難し、揺れが収まって火が消えていなかったら消しに行くといったイメージです」
『クロワッサン』1124号より