高尾山で教わる、初心者でも楽しめる山の歩き方。
初めてでも安全にどう楽しむか、高尾山で教えてもらった。
撮影・上山知代子 イラストレーション・川原真由美 構成&文・中條裕子
山頂からリフトまで、 下山ルートの楽しいごほうび。
髙尾山薬王院
参拝は時間をかけ、ゆっくりと。
山腹に位置するこちらの寺院は、およそ1300年前に開山され、今でも随一のパワースポットとして知られる聖地。不動明王の化身である飯縄権現(いづなごんげん)がご本尊であり、その眷属(けんぞく)(従者)である天狗の像や面を境内のあちらこちらで見ることができる。広々とした境内には、本堂やお札授与所のある広場から、少し上った本社、奥の院まで参拝しながら、ゆったりと過ごすのがおすすめ。事前に予約をすれば、季節の野菜をふんだんに使った精進料理もいただける。
●東京都八王子市高尾町2177
TEL.042・661・1115
登山口より登山道1号路を上り徒歩約70分、ケーブルカー高尾山駅より徒歩約20分など。
お札授与所の向かい側は、薬王院で護摩修行が行われる本堂。
本堂の左右に掲げられた巨大な面。こちらは大天狗、もう一方には小天狗の青いお面もあり、必見。
本堂左の階段を上った奥、赤い鳥居をくぐった先には飯縄権現を祀った飯縄権現堂がある。
護摩行を知らせる法螺貝の音色が9時半、11時など1日5回境内に響き渡る。
境内の御護摩受付所にていただける御朱印。天狗のご朱印帳1,800円、朱印料300円。
ごま豆腐、野菜の煮物、天ぷら盛からデザートまで揃う天狗膳3,300円。2日前まで要電話予約。
薬王院の参道には、樹齢700年といわれる杉の大木が立ち並ぶ。中には天狗伝説が残る杉も。
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参道の途中には、くぐることで煩悩の元を消し"三密"を正すことができる苦抜け門がある。
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1号路の途中にある男坂は煩悩と同じ108段。下りは足の疲れもあるので、気を付けて。
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樹齢450年を超すともいわれ、曲がりくねった根が特徴的な「たこ杉」は、開運の杉として祀られている。
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片道を12分ほどで行き来するリフト。自然と絶景を満喫しながら下山するのもまた楽しい。
高尾山スミカ 天狗焼
天狗が愛らしくおいしいスイーツに大変身!
高尾山を象徴する天狗をかわいらしいお菓子にして、2007年の販売より根強いファンが多く、ときに行列が絶えない名物がこちら。外はカリッと、中はもちもちの生地に包まれた黒豆のあんがほどよい甘さで、ごろごろの煮豆と共に登山の疲れを癒やしてくれる。まさに大人のおやつ。たとえ並んででも、食べたい逸品。おみやげにもぜひ。
●東京都八王子市高尾町2182
TEL.042・661・4151(高尾登山電鉄代表)
営業時間:10時〜16時30分(冬季〜16時) 無休
ケーブルカー高尾山駅前。
十一丁目茶屋
遠く絶景を望みながら甘味に舌鼓。
薬王院から十一丁目の距離に位置することが店名の由来となっている。1899年創業の老舗の茶屋には、店内のテーブル席や座敷席のほかテラス席が外に。天気のよい日には、そこから横浜のランドマークタワーまで望めるという。絶景を目のご馳走に、もちもち絶品の団子や太めの名物そばがいただける特等席となっている。団子は店頭販売もあり、おみやげ屋も併設しているので、疲れた足を止めてひと休みするにはうってつけ。
●東京都八王子市高尾町2179
TEL.042・661・3025
営業時間:10時〜15時 不定休 ケーブルカー高尾山駅より徒歩1分ほど。
冷やしとろろそば1,100円など。
さる園・野草園
自由に動き遊ぶ姿を眺める楽しみ。
88頭のニホンザルが生活するさる園では、1頭ごとの名前や顔、関係性をしっかり把握した係員による解説を常時、聞くことができる。個性豊かなニホンザルたちの姿をのんびりと眺められるのが何より楽しい。隣接する野草園は、山の起伏を生かした園内を散策し、高尾山に自生している季節ごと300種余りの野草を中心に観察ができる貴重な場所。そのどちらをも楽しめる、高尾山の知る人ぞ知る名物スポットとなっている。
●東京都八王子市高尾町2179
TEL.042・661・2381
営業時間:9時30分〜16時30分(5月〜11月。ほか季節により異なる)
入園料大人500円。
ケーブルカー高尾山駅より徒歩3分。