職人の丁寧な手仕事が生み出す、大切に使い続けたい、京都の暮らしの道具。
どれも使い勝手よく、美しい佇まい。定番にしたいものばかりです。
撮影・石川奈都子 文・宮下亜紀
京都に生まれ育ち、季節の食材を生かした料理を提案する、小平泰子さん。台所道具はよき相棒。愛用するのは、実際に使ってよかった、手になじむものばかり。
「自分の腕より頼っていると言ってもいいくらい。道具の良し悪しで、料理の出来が変わりますね」
みぞれ鍋やかぶら蒸しになくてはならないのが、有次の卸金。ふわふわなめらかに仕上がり、ほかには代えられないそう。京風もりつけ箸は、ごま一粒でも楽につまめ、細かい作業が的確にできる。
「いい道具は、ストレスがないんです。使う人に寄り添い、料理を引き立ててくれますね。卸金は目立てのメンテナンスもしてもらえ、お箸は気軽に買い足せる。京都は専門店が多く、フォローも万全で助かります。確かなものを扱うお店の方は知識も豊富、私にとって学びの場でもありますね」
【錦市場】有次の「卸金」
力を入れなくてもラクにおろせます。
いろいろ試した末、大きいサイズを愛用。「面が広く安定するので、大きいほどおろしやすい。バットに置くとラクにできますよ。りんごをすりおろすとスムージーみたいにジューシー」。
●京都市中京区錦小路通御幸町西入ル鍛治屋町219
TEL.075・221・1091
営業時間:10時〜16時 水曜休(年始休業あり)
【四条烏丸】御箸司 市原平兵衞商店の「京風もりつけ箸」
盛り付けしやすい小回りの利くお箸。
箸先が細く、丈夫で、料理人に広く愛される名品。「わさびをふわっと盛り付けるにも最適。手元側の平たい部分を使えばやわらかい煮物も扱いやすく、ヘラとしても活躍。よくプレゼントにも」。
●京都市下京区堺町通四条下ル小石町118・1
TEL.075・341・3831
営業時間:10時~18時30分(日・祝11時~18時) 不定休
左【京都市役所前】アンティーク・ベルの 「中皿」
現代の器とも合うモダンな骨董。
年代物の器は、現代作家のものと取り合わせてもなじむ、モダンなものを。「アンティーク・ベルのオーナー、前田隆汎(たかひろ)さんは飲食店も営まれていて食べることがお好き。だからちょっと盛って様になる、気の利いた器が見つかります」
●京都市中京区姉小路通御幸町東入ル丸屋町334
TEL.075・212・7668
営業時間:12時〜18時 無休(年末年始除く)
中【錦市場】有次の「アルミうどん鍋」
夏の素麺にも合う器使いできる鍋。
器としても使える、美しいフォルムの鍋。「アルミは早く火が通るのでせっかちな私には助かります。みぞれ鍋や湯豆腐に、涼しげで夏にもよく、かち割り氷や青紅葉を添えて素麺や冷奴にも」。(直径27cm×高さ7.5cm 2万3650円)
右【東山七条】WESTSIDE33の「アルミお玉」
食卓でも映える槌目(つちめ)が美しいお玉。
職人の手で丹念に叩いて、強く美しく形作られたお玉。「軽くて手にしっくりなじみ、やわらかな豆腐もすくいやすい。和洋問わず使え、食卓で取り分ける時にもぴったりです」。(小 約長さ23cm×直径7cm×深さ2cm 4,400円)
●京都市東山区大和大路通七条下ル三丁目七軒町578
TEL.075・561・5294
営業時間:10時~17時30分 火曜休(年末年始休業あり)
左・【五条河原町】開化堂の「茶筒 銅」
持ち運びできる便利なサイズ感。
手のひらにのる、携帯用の茶筒。「お茶が好きなので、中国茶や紅茶、抹茶など、その時飲みたいお茶に使います。しっかり密閉できるので、旅先にも安心して持って行けますよ」。(40g 直径65mm×高さ65mm 1万7600円)
●京都市下京区河原町六条東入梅湊町84・1
TEL.075・351・5788
営業時間:9時〜18時 日・祝、第2・4月曜休(夏季休業、年末年始休業あり)
中・【寺町二条】陶椀(とうわん)の「佃眞吾(つくだしんご)さんの輪花盆」
品よく愛らしくお茶にもお膳にも。
「木工芸家・佃眞吾さんのお盆は手のぬくもりを感じさせる、佇まいがいいんです」。様々なお盆を手がける中でも、この輪花盆はお茶やお菓子はもちろん、お粥やぜんざいのお膳にもよく、花器や小物を置いても。
●京都市中京区上本能寺前町471 1F
TEL.075・741・8114
営業時間:11時〜18時30分 木曜休 3月9日にオープン。
右・【岡崎】となりの村田の「村田森(しん)さんの急須と汲み出し」
人柄が伝わる使いやすさと温かみ。
「村田森さんの器は、きちんと仕事をしてあるのに愛らしさを併せ持つところが好きです」。汲み出しに料理を盛ることも。村田さんの器は『となりの村田』で出合え、品揃えはその時々で替わる。巡り合いを楽しみに訪れたい。
●京都市左京区岡崎南御所町18・11
TEL.075・746・6897 mail:info-tonarinomurata@kaikaikiki.co.jp
営業日・時間はInstagramで確認を。@tonari_no_murata *掲載商品は以前製作されたもので、今後の販売予定はありません。
左・【寺町二条】京都 やまほんの「つちや織物所 鍋つかみ」
小さくとも使い勝手抜群。
奈良で手織物を中心に製作する、つちや織物所が一点ずつ手縫い。「二つ折りのような形でしっかり鍋がつかめ、鍋敷きにもできるのに、とてもコンパクト。手縫いの温かみにもほっとします」。(小 100×100mm 2,530円)
中・【寺町二条】京都 やまほんの「ワランワヤン しゃもじ」
木の道具ならではごはんがぱらり。
日本人女性ふたりが現地の職人と製作する、ワランワヤン。チーク材を使ったしゃもじはバリ島の職人による手作り。「木がほどよく水分を調整してくれて、ごはんがひっつかず、ぱらぱらほぐれます」。(215×65mm 2,200円)
●京都市中京区二条通寺町東入ル榎木町95・3 延寿堂南館2F
TEL.075・741・8114
営業時間:11時〜18時30分 木曜休
右・【錦市場】有次の「骨ヌキ」
大きな鯛の骨もスッと抜けます。
関東と関西で主に扱う魚が違ったことから2種類の骨ヌキがあり、西型は力を入れずとも骨が抜けるよう、支点を工夫した形状に。「鯛の骨もラクに抜けます」。東型は、アジやイワシなど小骨の多い魚の身を崩さず取り除ける形。(西型 12cm 550円)
【木屋町二条】HIN/Arts & Scienceの「Peter lvy/Ojyu Box S」
自由な発想で楽しみたい三段重。
ガラス作家、ピーター・アイビーによる、楓のフレームにガラスをはめ込んだ三段ボックス。「前菜に使ったり、ガラス面を上にして盛ったり。イメージを広げてくれるお重です」。
●京都市中京区東生洲町482・3角
TEL.075・253・6782
営業時間:11時〜19時 火曜休(祝日の場合は営業) 不定期入荷。
【堀川今出川】花器 たになかの「木通(あけび)籠」
かごに草木を生け野山の気配を楽しむ。
和花を軸に季節の花を扱い、教室も主宰する『花・谷中』が営む、花に合う花器や古道具を扱う店。品揃えはその時々。「谷中さんがかごに花を生けていらっしゃるのを見てお手本に。季節の野菜を入れても絵になっていいんです」
●京都市上京区奈良物町477 堀川モリキビル4F
TEL.075・431・7757(花・谷中)
営業日・時間はInstagramで確認を。@kaki_taninaka
【三条大橋】内藤商店の「棕櫚(しゅろ)の小箒」
細かなホコリもさっときれいに。
棕櫚の産地、和歌山で職人が作る小箒。「食卓や棚など、ちょっとしたところを掃除するのにぴったり。卸金の目詰まりもこれで払います。毎日使っていると少しずつ先が減ってくるところも愛しいです」。
●京都市中京区三条大橋西詰
TEL.075・221・3018
TEL.9時30分〜19時 不定休
【四条河原町】嵩山堂(すうざんどう)はし本の「一筆箋、ぽち文」
受け取った人をくすっと笑顔に。
いつでもさっとお礼状やお祝いが用意できるようなお気に入りの絵柄が見つかる。「きちんと感がありながら、くすっと笑えるユーモアがあって、重たくならず、感謝を伝えられるのがいいんです」。
●京都市中京区六角通麩屋町東入ル八百屋町110
TEL.075・223・0347
営業時間:10時〜18時 無休(お盆・年始除く)
*ご祝儀袋とぽち袋は販売終了。
【烏丸二条】松栄堂の「芳輪 堀川」
ほのかな残り香で心地よい場に。
来客時など、場を清めたい時に焚くお香。「仕事柄、香水を使わないので、お香で香りを楽しみます。残り香もとても良く、ほめてもらうことも」。白檀を軸にした奥深い香りで、燃焼時間は20分ほど。
●京都市中京区烏丸通二条上ル東側
TEL.075・212・5590
営業時間:9時〜18時 無休(年始を除く)
『クロワッサン』1113号より
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