白央篤司さんのとっておきミートソースのレシピ。
白央篤司さんとミートソース、そのストーリーとは。
撮影・青木和義 文・板倉みきこ
白央篤司さん|これさえ作れば誰もが満足。 家庭料理の代表格だと思います。
“その日の気分や体調で、 作り方は若干変わります。”
食のプロであり、料理をすることも食べることも大好きなフードライターの白央篤司さん。でも体調や心の状態によっては、その日の料理が面倒くさくなることだってある。しかしこれさえ作れば誰もが満足。そんな鉄板料理が、ミートソースだ。
「調味料や材料を変えれば、洋風でも和風でも味の幅がいくらでも広がっていく、懐の深い料理。我が家の場合、合いびき肉が特価の日に作ることが多いのですが、そんな家計に優しい点も、家庭料理の代表格になっている所以だと思います」
基本のレシピは、ホールトマトやケチャップ、赤ワインなどを使う王道だが、牛すね肉を加えることと、薄口醤油を使うのが白央さん流。
「ミートソースはやっぱり牛肉の肉らしさがないと、と思うので、すね肉は欠かせません。薄口醤油を入れると味が決まりやすく、日本人の好きな方向にまとまるように感じます」
また、セロリをたっぷり使うことで、玉ねぎの甘さよりセロリの爽やかさが際立ち、飽きのこない大人味に仕上がる。さらに軽めにしたい時は、ひき肉を炒めている際に出てくる油も適宜取り除く。
「その日の気分や体調に合わせてレシピを変えてしまっても、最後は料理としてちゃんと成り立つ自由さが、ミートソースにはありますよね」
もう一品、アレンジ版として紹介してくれたのが干し椎茸入り。小ぶりのものならそのまま手で砕いて使えばよく、コトコト煮込むと椎茸の芳醇な出汁が溶け込んでいく。
「後は時間が仕上げてくれます。土曜に仕込んで日曜に温め直し、ワイン片手に遅めのランチで味わうのが、我が家の休日スタイルです」
ミートソース
【材料(3~4人分)】
1[合いびき肉 400g 牛すね肉 150g にんにく ひとかけ]
2[玉ねぎ 150g程度 セロリ 1/2本(100g) にんじん 60g 水 200ml オリーブオイル 大さじ1]
A[ホールトマト(あらごし)380g 赤ワイン 大さじ2 ケチャップ 大さじ1 薄口醤油 大さじ1/3 バター ひとかけ(8g) 塩 小さじ1と1/2 ドライオレガノ 2ふり(小さじ1/2程度)]
【作り方】
〈1の下ごしらえ〉牛すね肉は7~8mm角に刻み、軽く塩をしておく(分量外)。にんにくは皮と芯をのぞいて粗みじんに切る。〈2の下ごしらえ〉玉ねぎ、にんじんは皮をむき、筋を取ったセロリと一緒にみじん切りにする。玉ねぎとにんじんの皮、セロリの葉適量、水を鍋に入れ、ふたをして弱めの中火で煮ておく。
1.フッ素加工のフライパンに1の合いびき肉、すね肉を入れて全体にならし、強めの中火にかけて2分30秒ほどおいて軽く焼きをつける。にんにくを加えたら中火にして全体を炒め、火を止める。
2.鍋に2のオリーブオイル、みじん切りにした野菜を入れて弱めの中火にかけ、全体がくたっとするまで4分炒める。
3.2に1、2の野菜の皮と葉の煮汁、Aを入れて全体をよく混ぜたら中火にかけ、沸いたら弱火にし、ときおり混ぜつつ25分ほど煮る。仕上げに黒胡椒(分量外)をひく。
干し椎茸入りミートソース
【材料(3〜4人分)】
合いびき肉 400g
干し椎茸 15g
玉ねぎ 150g程度
セロリ 1/2本(100g)
にんじん 60g
オリーブオイル 大さじ1
にんにく ひとかけ
A[ホールトマト(あらごし)380g トマトジュース(無塩)200ml ケチャップ 大さじ1 ウスターソース 小さじ2 塩 小さじ1 砂糖 小さじ2 バター ひとかけ]
【作り方】
〈下ごしらえ〉玉ねぎ、にんじんは皮をむき、筋を取ったセロリと一緒にみじん切りに。干し椎茸は手のひらで押しつぶすようにして砕いておく。硬い軸のところは取る。
1.フッ素加工のフライパンに合いびき肉を入れて全体にならし、強めの中火にかけて2分30秒ほどおいて軽く焼きをつける。粗みじんに切ったにんにくを加えたら中火にして全体を炒め、火を止める。
2.鍋にオリーブオイル、みじん切りにした野菜を入れて弱めの中火にかけ、全体がくたっとするまで4分炒める。
3.2に1、干し椎茸、Aを入れて全体をよく混ぜたら中火にかけ、沸いたら弱火にし、ときおり混ぜつつ25分ほど煮る。
『クロワッサン』1105号より