“その日の気分や体調で、 作り方は若干変わります。”
食のプロであり、料理をすることも食べることも大好きなフードライターの白央篤司さん。でも体調や心の状態によっては、その日の料理が面倒くさくなることだってある。しかしこれさえ作れば誰もが満足。そんな鉄板料理が、ミートソースだ。
「調味料や材料を変えれば、洋風でも和風でも味の幅がいくらでも広がっていく、懐の深い料理。我が家の場合、合いびき肉が特価の日に作ることが多いのですが、そんな家計に優しい点も、家庭料理の代表格になっている所以だと思います」
基本のレシピは、ホールトマトやケチャップ、赤ワインなどを使う王道だが、牛すね肉を加えることと、薄口醤油を使うのが白央さん流。
「ミートソースはやっぱり牛肉の肉らしさがないと、と思うので、すね肉は欠かせません。薄口醤油を入れると味が決まりやすく、日本人の好きな方向にまとまるように感じます」
また、セロリをたっぷり使うことで、玉ねぎの甘さよりセロリの爽やかさが際立ち、飽きのこない大人味に仕上がる。さらに軽めにしたい時は、ひき肉を炒めている際に出てくる油も適宜取り除く。
「その日の気分や体調に合わせてレシピを変えてしまっても、最後は料理としてちゃんと成り立つ自由さが、ミートソースにはありますよね」
もう一品、アレンジ版として紹介してくれたのが干し椎茸入り。小ぶりのものならそのまま手で砕いて使えばよく、コトコト煮込むと椎茸の芳醇な出汁が溶け込んでいく。
「後は時間が仕上げてくれます。土曜に仕込んで日曜に温め直し、ワイン片手に遅めのランチで味わうのが、我が家の休日スタイルです」