くらし

京町家で「買わずに作る」暮らし、お金に頼り過ぎない日々は心の余裕にも。

お金に振り回されず、前向きに付き合うための秘訣とは?
日を自分らしく豊かに過ごす手づくり暮らし研究家の美濃羽まゆみさんに聞きました。
  • 撮影・福森クニヒロ 文・嶌 陽子

自分の手でものをつくることでいざとなっても大丈夫と思える。

手づくり暮らし研究家 美濃羽まゆみさん (43歳)

築100年の京町家に、夫と2人の子どもと暮らす美濃羽まゆみさん。服のデザインや製作、ハンドメイド教室の講師、さらには3年前に始めたフリースクールの運営など、忙しくも充実した日々を送っている。風通しのよい家に並ぶのは、自らつくったさまざまな保存食や日用品だ。

「節約のためというわけではなく、手を動かして何かをつくるのが好き。自分好みのものにできるのも魅力です。必要なものがあっても買わずに何かで代用できないか考えたり、ひとつで何通りにも使えるものを選ぶようにしています。町家は作り付けの収納が少ないので、置く場所がないんです」

楽しみながら手を動かし、暮らしを整えるうちに、気づけば使うお金も以前よりかなり減った。それ以上に大きかったのは気持ちの変化だと語る。

「自分の手で何かをつくることで、ものを見る目も養われて、いいお金の使い方ができる。お金に頼りすぎないいい距離感が、心の余裕にもつながります。いざとなっても何とかやっていける、そんな安心感を持てるんです」

◎買わずにつくってみる。

野菜や果物を育て、 調味料なども自家製に。

庭ではゆずや南高梅、みょうが、ブルーベリーなどを育てて活用中。味噌や梅干し、コチュジャン、ゆずこしょうなど、自家製の保存食と調味料が日々の食卓を支える。

「町家は風通しがよく涼しいので、保存食づくりに最適なんです」

家にあるもので簡単に楽しくおやつづくり。

おいしそうなおやつは、どれも身近な材料で手軽につくれるもの。娘がつくったという琥珀糖は「寒天と水と砂糖に着色料だけでつくれます」。自家製キャラメルは、バターと牛乳、砂糖を火にかけて溶かしたものを、麩に絡めれば完成。

アクセサリーは自分好みのものをハンドメイド。

市販のピアスやブローチには自分好みのシンプルなものがなかなかない、とボタンなどのパーツやハギレを使って自分で製作。「お店に行っても『やっぱり自分でつくろう』と思い、結局買わずに帰ることが増えました」

日用品やキッチン道具はハギレを活用して製作。

服の製作過程で出るハギレをまとめて保管し、時間がある時に鍋つかみやティーコゼーなどのキッチン道具や小豆カイロ、名刺入れ、はたきなどの日用品をつくっている。買わずに済むうえ、愛着のある布も活用できて一石二鳥。

◎捨てずにもうひと役。

精米で出たぬかを使って床掃除。

精米した際に出るぬかを使ったお手製の掃除グッズ。ぬかを何回分かためておき、目の細かい布に入れて縫いとじるだけ。「水で湿らせてから床を拭くと、ぬかの油分でしっとりして、つやも出るんです」

果物の皮や種を入浴剤や化粧水に。

みかんの皮は「干して入浴剤としてお風呂に入れると体が温まります」。そのほか、煮出して掃除用スプレーとしても活用中。ゆずの種を焼酎に数日間漬けた手づくり化粧水は、毎日顔や体につけている。

虫食いセーターはレッグウォーマーや愛猫の布団に。

虫食い穴が開いてしまったうえ、猫が汚してしまったセーターもひと工夫加えて新たな形に。「何かにできないかなと考えて、猫の布団にしてみました」。腕の部分はレッグウォーマーに変身。

◎お気に入りを使い回す。

道具は使い回せるものを選ぶ。

道具はあれこれ買わず、厳選したものを何通りにも使用。琺瑯製のストッカーは、調味料入れや味噌汁用の小鍋、揚げ鍋として活用。ざるはおにぎりやパンを盛る皿にするほか、フルーツやお菓子をのせたり、茹でた野菜を上げたり、野菜を干したりと大活躍。

美濃羽まゆみ

美濃羽まゆみ さん (みのわ・まゆみ)

手づくり暮らし研究家

ハンドメイド子ども服・おとな服ブランド「FU-KO Basics.」主宰。子どもの居場所「くらら庵」を運営。インスタグラム@minowa_mayumi。

『クロワッサン』1111号より

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