「役者人生のなかで3本の指に入る名作になりました。撮影中、毎日がお祭りのようで、撮了が寂しかったです」
映画『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜』を愛でる片岡愛之助さん。大阪府知事・嘉祥寺晃(かしょうじあきら)役を、大阪出身ならではのネイティブな言葉と、大阪愛と派手な衣裳とメイクで演じきった。
「僕の地元・堺を舞台にした歌舞伎『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』の団七九郎兵衛を演じるときのように、大阪の言葉を話す役は等身大でできてホッとします。嘉祥寺は、等身大というにはデフォルメが強烈すぎて、最初はこれが大阪府知事?と戸惑いましたが(笑)。いざやってみたら、1ミリも悩むことはなかったです」
妻・藤原紀香さんと夫婦役で共演することにも悩みはなかった。
「夫婦で仲良くするだけの役だったらお断りするつもりでしたが、逆にバチバチな関係だったので、お引き受けしました。お客さまに楽しんでいただくことを第一に、やりきるところまでやったほうが面白いですよね」
歌舞伎で『ルパン三世』の話が来たときも「びっくりしました。アニメや漫画をもとにした歌舞伎も増えていますが、ルパン三世とは……」と驚きつつ、新作の創作に全力を注いでいる。
「オリジナルストーリーなので、あくまでルパン三世が歌舞伎の時代にいるということにしようと決めました。『白浪五人男』のようなイメージを……と思っても銭形警部は仲間じゃなくて泥棒仲間は4人。どうやったら成立するのか。でも面白くなると思います」