くらし

人生のセカンドステージに向けた、東京と愛媛の2拠点生活。

生活する場所は1カ所とは限らない。
東京と愛媛で2拠点生活を実現したギフトコンシェルジュの裏地桂子さんにそのきっかけや楽しさ、また新しい発見や注意点も教えてもらった。
  • 撮影・青木和義 文・小沢緑子

人生のセカンドステージに向けて、移住も視野に楽しむ。

●愛媛
「松山は海も山もあり、食も充実、東京の友人も喜んで遊びに来てくれます。今はSNSが発達しているので友人との距離も感じませんね」

●東京
「人形町の自宅は購入物件としては3軒目。間取りから細かく変更したので快適です。道後の住まいも同じようにリフォームを計画中です」

東京・人形町と愛媛・道後で、2拠点生活を送る裏地桂子さん。

「セカンドライフを見据えて、道後には隔月で2週間滞在、年間90日が目標」

人形町の自宅には5年前に引っ越し。

「とても気に入っているのですが、それ以前から、夫が退職したら『どこに住もうか。暮らしをコンパクトにするなら東京でなくてもいいのでは』と、夫婦で何となく話をしていました」

【愛媛】日本最古の温泉とされる道後温泉のシンボル、本館。現在営業しながら保存修理工事中。

当時裏地さんは54歳、夫は57歳。そこでざっくりと条件に当てはまる地域を絞り、京都・御所南、福岡・薬院、静岡・鷹匠、そして裏地さんの出身地の愛媛・松山の道後を加え、旅行で近くに行けば不動産屋を覗いたり、“第2の人生を機嫌よく暮らせるところはどこか”と情報を集めていたという。

【愛媛】「松山城周辺は公園で散歩にもいい場所。 街がコンパクトなので歩きやすいです」

「当時、松山には一軒家に父親が一人で住んでいて、頻繁に行き来していました。そんな折、地元で不動産業を営む友人が道後にいい物件が出ると教えてくれ、翌日すぐ見学に行きました」

すると所々の条件をクリアしていて、「これ以上にいい場所はない」と確信。

【愛媛】「トレッキングを楽しむようにもなりました。松山の友人と一緒に出かけています」

「今後暮らすなら『どこに行くにも車を使わなくても交通便利』は絶対条件。ほかにも『一戸建てより新築マンション』『デパートが近い』など、自分なりのこだわりも当てはまる。人形町に引っ越してまだ半年だったので夫は驚いていましたが、『日本最古の温泉が徒歩2分』と熱くプレゼンしました」

購入を決めた当時は、すぐに住み始めることは考えていなかったという。ところが半年後に父親が他界し、整理のため一人っ子の裏地さんはこれまで以上に松山に通う生活に。

【愛媛】窓の外に遮るものがなく気持ちがいい道後の住まい。「眺めのよさも条件の一つでした」

「実家じまいが終わった頃、コロナ禍で夫は在宅勤務が増え、2拠点あることが息抜きになりました。同時に道後での生活が快適になってきたんです」

もともと家を一生ものだとは考えておらず、「年齢によって生活スタイルは変わるので、賃貸、分譲にかかわらずその時々に合った住居や場所に暮らしたいと思っていました。それも2拠点生活を楽しめる理由だと思います」。

【愛媛】風光明媚なしまなみ海道。「伯方島に大好きな鮨店があって、友人と足を延ばすことも」

完全移住に向けてのお試し期間の2拠点生活。

道後への完全移住を具体的に考え始めたのは、夫が日課のランニング中に倒れ、夫婦で「人生何があるかわからない」と実感したことが契機に。

「『90歳まで生きたとして、元気で動けるのはあと何年?』と今後の計画を明確に立てていくと、移住は再来年がベスト。夫は道後とは縁もゆかりもないのですが、行き来するうちに空港から近く、食もおいしく温泉もある道後が気に入って。どんな土地が自分に合うかのお試し期間になったようです」

【東京】「夫婦で食べることが好きなので食も大切で。自宅近くにもお気に入りの店が何軒か」

2拠点生活を快適にするためには?

「第2の人生で考えるなら、まず漠然とではなく、どうして2拠点生活をしたいかを具体的に掘り下げてみる。同じ県内、市内でも住み心地や物価も微妙に違うので、どの地区に住みたいかまで絞り込むことが大切だと思います」

人間関係も見過ごせない。

【東京】人形町の自宅。細部にまでこだわったスタイリッシュなインテリアで統一している。

「私は元同級生から人脈が広がりましたが、食べることが好きとか、何か価値観が同じ人とつながれると楽しい。また、万が一のために家の鍵を渡せる人が一人いるとより心強いですね」

今年は道後の住まいのリフォームを計画中で、「60歳以降は夫婦とも家にいる時間が増えるので、お互いにどれだけ快適に過ごせるか、家の中を見直すことも大切だと思っています」。

【東京】「21歳の老猫がこちらにいるので、主に私が2拠点生活。夫は週末や休暇を利用し道後へ」

2拠点生活を叶えるための3カ条

なぜ2拠点生活をしたいか、イメージだけでなく掘り下げて考える

あらかじめ自分が譲れない条件をクリアにする。

どの市町村のどの地区に住みたいかまで具体的に絞り込む

※候補地が決まったら、実際に不動産情報もチェック。

裏地さんの2拠点生活実現までの流れ

【2018年】

●3月
現在の東京・人形町のマンションを購入し、7回目の引っ越し。この頃、高齢の父親の様子を見に頻繁に愛媛・松山に帰省する生活。
●9月
道後温泉に「いい物件が出る」との元同級生からの情報で、翌日モデルルームを見に行く。「これは出合い!」と感じ、夫と相談して購入することに。

【2019年】

●4月
父親が他界。実家じまいのため、東京と松山を頻繁に行き来。
●10月
道後温泉のマンション引き渡し。

【2020年】

●2月
実家じまい終了。東京と道後温泉のマンションを行き来するうちに、次第に道後の生活が快適に。
●5月
夫がランニング中に突然倒れたことをきっかけに「人生何があるかわからない」と、
今後の生活や移住プランをより明確に考える。

【2021年〜現在】

東京と、2カ月に一度、道後で2週間暮らす2拠点生活。今後はリノベーションを行い、2025年に道後温泉に移住予定。

裏地桂子

裏地桂子 さん (うらじ・けいこ)

ギフトコンシェルジュ

企業やショップの商品企画や商品開発、ブランディングに携わる。著書に『最上級のプチプラギフト100』など多数。インスタグラムは、@k.uraji。

『クロワッサン』1090号より

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