くらし

照明を素敵に取り入れるコツと、高コスパで簡単な4つの照明アイデア。

くつろげる部屋にするには、照明を変えるのがいちばん簡単。
そう語るインテリアコーディネーターの堺あゆみさんに、素敵に取り入れるコツを聞きました。
  • 撮影・市原慶子 文・石川理恵

いくつもの明かりが空間に奥行きをもたらす。

夜は照明を落として過ごす。窓際に置いたガラスボディのシェードライトは、かつて結婚式場で使われていたもの。廃棄される予定だったものを譲り受けた。

来客を迎える日。堺あゆみさんは部屋のあちこちに、小さな明かりをいくつも灯していく。それだけで空間に奥行きが生まれ、飾り棚の置物からテーブルの上の料理まで、何もかもを実物以上に、素敵に見せてくれるからだ。

「天井から直接照らす均一な明かりと違って、間接的な明かりは陰影と広がりが生まれ、柔らかい雰囲気をつくることができます。居心地のいい部屋にするには、照明を変えるのがいちばん簡単かもしれません」

堺さんが愛用しているのは、好きな場所に動かせるポータブルなライト。

機能的なデザイナーズものをいくつか大切に使っている。一方、空き瓶と照明用のパーツを組み合わせてシェードライトを手作りしたり、拾ってきたものを再利用したり、コストをかけない工夫を楽しむのも好きだという。

来客前に、ひとつずつ明かりを灯すのが好きだと話す堺さん。スイッチひとつでオンオフするのとはまた別の豊かさを感じている。

「ガラスに明かりが反射する様子って、とてもきれいじゃないですか? だからお金をかけなくても、空き瓶でも素敵になるのがうれしくて。
手軽にできることといえば、私はキャンドルもよく使います。シンプルなものをいくつか並べるだけで雰囲気がよくなるから、100円ショップやイケアでまとめ買いします。
キャンドル選びで気をつけているのは、手頃なものは無香料を買うこと。香り付きのキャンドルは質のいいものを選びたいので、旅の記念に旅先で買ったり、がんばったあとのご褒美に買ったりしています」

間接的な明かりやキャンドルの炎に、落ち着きを感じていた堺さん。本を読んだところ、オレンジ色の光は、リラックスや安眠を促す効果があると知った。照明は部屋の雰囲気だけでなく、過ごし方そのものを変えてくれる。

「夜寝る前に、一つひとつ明かりを消していくのも、一日を終える儀式のような気がして、心静まる時間です」

照明を楽しむのにおすすめの一冊。坂川栄治さんの『「光の家具」照明』(TOTO出版)。

照明がつくる心地よさには理由があります。

部屋にゆらめきや影が生まれる。

麻のシェードと真鍮素材の照明は、『スタンダードトレード』の「FLP-01A」。

照明は「目的に合わせてつける」と話す堺さん。

天井のライトで均一に照らすのは、勉強や作業向き。くつろぎたいときにはフロアライトやテーブルライトなどの間接照明に切り替えると、周囲の壁にぼんやりとした陰影が生まれ、落ち着ける雰囲気に。

料理も人も美しく見える。

人を招くときには、ペンダントライトすらオフに。

テーブルの上に『アンビエンテック』のコードレスライト「TURN」を置いて、料理の間にキャンドルを並べる。

こうして下から照らす明かりは、ちょっとした料理も素敵に見せるし、人の顔も美しく見える。「リラックスするおかげで、いい話がいっぱいできるのもうれしい効果です」

好きなものを雰囲気よく照らす。

お気に入りのものを飾ったら、ぜひ照明をセットにして。やわらかな光がそのコーナーを素敵に浮かび上がらせてくれる。

壁に吊したのは、『ツェツェ・アソシエ』の「キュービストガーランドライト」。
「古いもので、シェードの紙の色が茶色くなったり、やぶけちゃったりもしているけれど、それも味わい。不完全なものが落ち着きます」

コスパが高くて簡単に楽しめる、照明のアイデア。

アイデア1|空き瓶を使って、ライトを手作り。

壁際に置いたテーブルライトは、空き瓶と、Amazonで購入したコード付きソケット、家にあったシェードを組み合わせて作った。

「空き瓶は、大江戸骨董市で300円だったもの。形が素敵だったので照明を作ろうと思いつきました。出来上がったとき、娘が『世界にひとつだけのライトだね』と言ってくれたお気に入りです」

アイデア2|イケアのライトをガラスドームに。

昭和時代の置き時計に使われていたガラスドームを、ライトのカバーに再利用。
「ガラスドームは実家で見つけました。中のライトはイケアで買ったイルミネーション用です」と堺さん。

同じものでなくとも、他のLEDライトチェーンで代用できそうだ。ガラスドームの代わりには、花瓶や保存瓶を使っても。

アイデア3|キャンドルホルダーは置物を兼ねて。

左上は新宿・伊勢丹で、その他は国内外の蚤の市で購入。

「ヨーロッパにはキャンドルの文化が根づいているから、細工の素敵なキャンドルホルダーがいっぱい。キャンドルをつけずに、飾っておくだけでもインテリアに表情を与えてくれるんです。テーブルにドーンとあるのは仰々しいので、小さなもの、木の素材などを選びます」。

アイデア4|空き瓶、グラスにキャンドルを。

「キャンドルは、100円ショップの仏具用がけっこう優秀なんですよ」と堺さん。ワインの空き瓶に挿したり、グラスに石を入れて挟んだり、ガラスと組み合わせると炎のゆらぎがより美しく楽しめるそう。

「うちはキャンドルをたくさん使うので、100円ショップやイケアでまとめて買って、キャンドルボックスに収納しています」

堺あゆみ

堺あゆみ さん (さかい・あゆみ)

編集者、インテリアコーディネーター

築53年の賃貸マンションに住む2児の母。雑誌や書籍づくりに携わるほか、イギリスで学んだ経験などを活かし、収納・インテリアのアイデアを提案。インスタグラム@editjapan

『クロワッサン』1090号より

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