くらし

固定費削減のために住み替え、イラストレーター・柿崎こうこさんが手に入れた緑あふれる快適な暮らし。

心身がリラックスできて家事や仕事もはかどる、そんな住まいの作り方は?
さまざまな工夫やアイデアをイラストレーターの柿崎こうこさんに教えてもらいました。
  • 撮影・三東サイ  文・長谷川美緒

和室を心地よい空間に。 グリーンがポイントです。

イラストレーター・柿崎こうこさん

イラストレーターとして活躍する柿崎こうこさんが、都心の38平米1LDKから郊外の63平米3DKに越したのは、3年前、49歳のとき。50代を見据えて老後資金について考えた際、固定費の削減をしようと決めたからだ。

「これまで大きな病気もせずに働いてこられましたが、40代半ばを過ぎたあたりから、少しずつ体の変化を感じるように。体力が落ち、仕事でも無理がきかなくなってきたんです。フリーランスでシングルという心細い状況で、自分の足で立って生きていくために、小さく、身軽に、快適な暮らしを作りたいと考えるようになりました」

仕事に集中できるよう、前の家にはなかった仕事部屋を確保できる広さで、かねてより希望していた猫との暮らしを実現するためペット可物件、かつリビングが南向き、と条件は厳しかったものの、家賃が月4万円減となる現在の住まいを見つけた。

「南側の窓の外に広がる景色がいいことが決め手になりました。2月には満開の梅の木が見えるんですよ。築30年という古さも、味があって好ましかった。強いて言えば、リビングが和室になることが不安でしたが、知恵と工夫で自分好みのインテリアを作れるだろうと思いました」

柿崎家のシンボルツリー・エバーフレッシュの鉢カバーはアフリカのカゴ。「好みのものを血眼になって探しました」

お気に入りの家具とグリーンで自分の家をますます好きになる。

和室で最初に目に入る壁際に、長年愛用してきたキャビネットとアームチェア、オットマンを置いたら、ヴィンテージの色合いが畳とよくなじんだ。ここでくつろぐ時間は至福で、リズミカルに配置したグリーンからも、エネルギーをもらっている。

「床置きだけではなく、S字フックで吊るして高低差をつけることで、緑に囲まれているような心地よさを感じることができます」

収納は見せると隠すのメリハリをつけ、美しい骨董の器はガラス戸の棚に飾るようにしまい、雑然としやすい家電などは天然素材のかごに。便利なプラスチックの収納用品は、押し入れや納戸、引き出しで活用中。

「機能的で片づけや掃除がしやすく、好きな家具やグリーンに囲まれた部屋は、私にとって居心地がよく、心身を元気にしてくれます。この先もずっとひとりでいるかはわかりませんが、ひとりでいることを前提に。暮らしを整え、快適を作る小さな工夫を続けていきたいと思っています」

椅子は斜め置きが柿崎さんのインテリアルール。「空間に動きが生まれ、部屋の雰囲気が洗練される気がします」

緑は見せたくないものをさりげなく隠してくれます。

リビングの壁で存在感を示すエアコンのダクトは、食器棚の上に置いた観葉植物でカバー。「視界に入れたくないものは、グリーンで隠すという技をよく使っています」

突っ張り棒に無印良品の麻のシーツをかけ、カーテン代わりに。高い位置から布が広がり、和室感を和らげている。ハンギングプランツは天井の引っ掛けシーリングにS字フックで取り付けた。

小さなものをしまう小引き出しをたくさん持ってます。

リビングに置かれた食器棚の中は、この10年くらいで集めた骨董の器を見せる収納で。「しまいこまず、来客時によく使っています」。欠けや割れには、趣味の金継ぎを施してお直し。

寝室のチェストは、デンマークのヴィンテージ。引き出しが浅いので、インナーなど薄いものを収納するのに重宝。最上段には、装身具などをしまっている。「以前は見せる収納にしていたアクセサリーも最上段にしまって。ホコリよけも兼ねています」

仕事場のチェストと小引き出し。チェストは30年ほど前に購入したアメリカのヴィンテージ。小引き出しはキャスター付きで、浅い引き出しが紙類の整理に最適。「どちらも蜜蝋ワックスを塗るなど自分でメンテナンスしながら使っています」

小引き出しは文具など細々したものを収納。

隠したい物は、妥協せず、ぴったり入る場所を探して。

壁付けキッチンはリビングから丸見えのため、ゴミ箱はシンク下に隠すことに。IKEAで見つけたふた付きゴミ箱22Lは、引き出しにぴったり入るサイズ。

生活感が出やすい炊飯器を入れたのは、サイズを合わせて探したタイの水草のカゴ。「炊飯器が古くなってきたので、この機会に炊飯用の鍋を探し中です」

清潔さが心地よさに。いつも心がけています。

床のワイパーがけが日課。毛繕いする猫のため、ウエットシートではなくキッチンペーパーを水とクエン酸で濡らして行う。

臭いや湿気が気になるトイレや下駄箱、押し入れなどには、竹炭を置いている。「市販の除湿剤や消臭剤と違い、プラごみが出ないところが気に入っています」

好みの空間のためには時には簡単DIYも。

ホームセンターで購入した板にアイアン製のタオルハンガーとキャスターを取り付け、折りたたみ式自転車の台を自作。「室内の置き場所対策です。重い自転車も移動しやすいので、掃除もラク」

柿崎こうこ

柿崎こうこ さん (かきざき・こうこ)

イラストレーター

1970年、青森県生まれ。雑誌や書籍、広告などで幅広く活躍。『50歳からの私らしい暮らし方』(エクスナレッジ)など著書多数。

『クロワッサン』1090号より

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