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【演目:大工調べ】威勢いい江戸っ子の啖呵が聞きどころ、日頃の憂さを晴らしてくれる一席。│ 柳家三三「きょうも落語日和」

イラストレーション・勝田 文

【演目】大工調べ

【演目:大工調べ】威勢いい江戸っ子の啖呵が聞きどころ、日頃の憂さを晴らしてくれる一席。│ 柳家三三「きょうも落語日和」

あらすじ

大工の棟梁が、仕事の腕はいいがぼんやり者の若い衆・与太郎に仕事に来るよう言うと「店賃の支払いを数ヶ月滞らせて、大家さんに道具箱を差し押さえられた」という。その金額は棟梁の持ち合わせでは八百文足りない。棟梁は「大家には下手に出て話をして道具箱を返してもらえ」と、与太郎ひとりで行かせるが、大家を悪く言った内輪話を目の前で喋って怒らせてしまう。慌てて棟梁が出向いて詫びるが、へそを曲げた大家は言葉尻を取り、返さないと言い張る。ついに堪忍袋の緒が切れた棟梁が「何を抜かしやンでい、この丸太棒!」と啖呵を切り…。

この「大工調べ」という噺、あらすじではご紹介し切れない聞きどころがあります。それが棟梁が大家に切る啖呵です。普段から威勢がよく喋る江戸っ子がさらに高速で、まさに〝火を吹くような〞という形容がぴったり。高座で演者が胸のすくような啖呵を披露できれば、お客さまも溜飲を下げて拍手喝采してくれます。

この演目、棟梁の啖呵を真似た与太郎があたふたする場面で笑ってもらい、噺の半ばで終わらせることがほとんどです。その後のお奉行様によるお裁きの場面は「面白くない」というのが通説。しかし私見なのですが、その後半もきちんと演じるとあら不思議、痛快な裁判での逆転劇となり、前半と合わせて〝一席で二度美味しい〞噺になります。

今も昔も市井の人々にとって、寄席が日常の憂さを晴らす場所であってもらいたいですね。

『クロワッサン』1091号より

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