料理研究家として40年以上、第一線で活躍している藤野嘉子さん。
フレンチレストランのオーナーシェフである夫の賢治さん、3人の子どもたちと、25年間、東京西部にある150平方メートルという広々としたマンションに暮らしてきた。ところが、嘉子さんが59歳の時に、住み慣れたその家を手放し、65平方メートルの賃貸マンションに転居をすることになる。
「年齢に合った暮らし方をしようという夫の提案が始まりでした。きっかけは東日本大震災。その時、夫は60歳。震災で客足が少し遠のいたのを機に、年齢のことも考えて、レストランを閉める決断をしたんです」