物置と化した部屋を虻川美穂子さんが本気で片付けた。すっきり片付くメソッドとは?
撮影・黒川ひろみ 文・板倉みきこ
身につけたい、ものを減らす〝基本ステップ〟。
(STEP1)すべてのものを目の前に出す。
部屋にあるものを全出しして、現在の所有量と種類を確認。よく使うものが出しっぱなしになっていて、あまり使わないものが収納されていた、という事実に気がつくことが多い。
(STEP2)残す、売る、捨てるものに分ける。
収納スペースの7割を想定し、残すものを厳選。最初にいらないものを探すのではなく、好きなもの、大事なものを選び出すことが大事。残りを〝譲る〟〝売る〟〝捨てる〟などに分別。
(STEP3)分けたものを袋に入れてラベリングする。
カテゴリーごとに袋に入れ、何を入れたか自分の言葉でラベリング。売るものは、「フリマで売り、残ったものは店に」などと具体的に記入。何日まで、と期限も入れると効果的。
(STEP4)各アイテムを置く枠を決め、収める。
無尽蔵にものを増やさないため、収める枠を決めることが大事。基本は7割収納。畳んでしまうものもあれば、片づけやすさを重視して、投げ込みでOKの収納場所も作った。
虻川さんが手放すと判断したものたち。
(礼服)意外と見られる礼服。ひと昔前のものは手放して更新を。
母親から譲ってもらった礼服。着る機会は少ないが、実は人がよく見ているもの。今の自分にちゃんと似合う一枚かチェックを忘れずに。
(袋・ポーチ)衝動買いした使い道の決まっていない袋やポーチは厳選。
かわいいから、便利そうだから、何かに使えそうだからと増加。使うシチュエーションが具体的に浮かばないものは手放し、2、3個だけに。
(ストール)生地が薄いもの、チクチクするものは手放して。
巻きもの好きでかなりの枚数があったが、使っていないものも相当数。使う機会の少ない薄手のものや、使用感の悪いものを手放すことに。
(部屋着)ヨレヨレのパーカー、心地いいのは自分だけです。
ヨレヨレで毛玉のついた服は家族から見れば決して心地いいものではない。独身時代から愛用のパーカーはその筆頭株。これを機に卒業した。
(レジャーグッズ)サイズアウトしたものや使用頻度の低いものは見直しを。
サイズアウトした子どものマリンシューズを処分。年に1度使うかどうかのキャンプグッズは場所を奪うだけなので、こまめに要不要の確認を。
(タオル)リユース用の2軍のタオルは使い切れる量に絞る。
掃除などに使えるからと取っておいたタオルが大量に。使い切れる量にして余分なものは処分し、掃除道具の近くの分かりやすい場所に移動。
(コート)くたびれた一枚はやめ、せっかく買った新品を着て。
買ったのにもったいないと取っていた新品のコート。ずいぶんくたびれてしまった愛用の一枚を手放して、今の自分に合う新品を着ることに。
(土)使うものはベランダへ。使わないものは業者に依頼。
ガーデニング用の土は虫が湧く可能性があるので、使うものはベランダに移動。使わないものは産業廃棄物扱いになるため、回収業者に依頼。
壊れていた収納ケースも処分対象に。虻川さんの想定以上に手放すものが集まった。
AFTER
ものを出し入れしやすい美空間に生まれ変わった!
【出しやすくしまいやすい収納方法に。】
(A)服は全部吊るして選びやすく。
伸びる心配のない洋服は、できるだけハンガーにかけて収納する。このほうが持っている量を把握しやすく、服選びも楽々。
(B)小物類は、軽くて放り込めるボックスに。
バッグや雑多な小物類は、引き出しやすく崩れにくい軽量ボックスを使い、タグ付け。片づけやすい放り込み式にした。
(C)スーツケースをレジャーグッズ入れに。
棚に突っ込むように点在して入れられていたレジャーグッズを、スーツケースに。これ以上増やさないという目安にもなる。
\ものを探す労力を減らすのがコツ。/
【空間が出現し、服選びがスムーズに。】
(A)カテゴリーごとに見やすく収納。
クローゼットの中には、コートやお出かけ着などを種類別にまとめて収納。どこに何があるか分かりやすくした。
【不要なケース、棚も処分して、使いやすく。】
(A)子ども服は取り出しやすい位置に。
今まで収納ケースで塞がれていた場所が使いやすくなったので、息子の手が届く低い位置に子ども服を収納。息子も大喜びだった。
●使用する収納用品
見違えるほどすっきりした部屋。収納のポイントは上記で紹介しているが、途中虻川さんが一番難儀したのが、ものの要・不要の判断をするステップ。
「まだ着られるし、これはお得だったし、これは何かに使えそうだし、とひとつずつ見ていると、いらない理由が見つからなくなって……」(虻川さん)
その滞りを打破したのが、「今の虻川さんに本当に必要?」「使うシーンが具体的に浮かばないならいらないものですよ」といった石阪さんのアドバイス。
「そう言われて、汚れていたり、今の私には似合わないものや、使うシーンが浮かばないもの、なんとなく取っていただけだったものがあることに気づきました。特に、独身時代から愛用していたパーカーを手放す、と決断してからは、何かが吹っ切れて判断のスピードが上がりましたね」(虻川さん)
これまでの、自分の買い物の失敗パターンに気づくこともできた。
「使い道やコーディネートを考えず、とりあえず買っちゃっていましたね。買ったのに使っていないものもいっぱいあったし……」(虻川さん)
収納棚やハンガーの数を絞り、これ以上増やさないというルールも設定。
「第2弾の片づけも大成功です。この体験を活かして今あるものをさらに厳選していき、最終目標の息子さんの部屋を作りましょうね!」(石阪さん)
『クロワッサン』1083号より