くらし

還暦を過ぎて夫婦で古民家に引っ越し。使うものしか持たない主義で極めた、モノとの別れ方、潔い暮らし方。

還暦を過ぎて夫婦で古民家に移り住み、新しい暮らし方を始めた。引っ越すときにものをどう整理したか、ものを持たない暮らし方の工夫も聞きました。
  • 撮影・柳原久子 文・室田元美

古民家生活を愉しむために、必要なものを選び直しました。

東京の賃貸一軒家から昨年5月、埼玉県熊谷市にある築150年の古民家に引っ越した、随筆家の山本ふみこさん。夫で映画監督の代島治彦さんが生まれ育った懐かしい家だ。

土間の先に8畳の和室が4つ。「典型的な農家の作りです」

8畳の和室4つに広々とした土間。以前の家の倍以上の広さだが、引っ越しの際にはものを真剣に減らした。もっとも減らしたのが、本と食器。

「もともと持たない主義だったけれど、新しい生活をするにあたって、従来のものや考えに縛られていては暮らしきれないと思って」

純和風だった庭を、食用ハーブなどが育つ庭に改装中。

この家で暮らしていた亡き義父母が使っていた寝具や洋服なども「ごめんなさい、ごめんなさい!」と処分。

いま、使っている家具や道具は、この家で代々使われ、残したいものと、前の家から連れてきた選ばれしものだけだ。とはいえ「ものは絶対に買わない」と決めているわけではない。

「どっぷり日本家屋だと、北欧の食器が欲しくなったりして、住んでみないとわからないものだなあと。そんな自分の気持ちにも素直になりたいです」

[キッチン]料理を楽しめるよう自分仕様にリフォーム。

「キッチンは自分仕様にこだわってリフォームしました。水回りの使い勝手が悪いと、ちゃんと暮らそうという気持ちが崩れるから」

台所をリノベーションしてシステムキッチンを取り付けてもらった。規格外の空間に最新の仕様がよくなじんで。
愛用の鍋はしまい込まずに見せる収納。このタワーも、以前の家で使っていたもの。

シンプルで広く、料理しやすいシステムキッチンも迎え入れた。

「形のいいお鍋やお玉などは片づけるともったいない。飾って道具の美を愛でています」

配膳台の端にラックを取り付け、眼鏡の置き場を作った。よく使うものほど、定位置を決めておけば探し回らずにすむ。

[リビング]コンクリートの土間でモダンなLDKに。

土間で台所仕事をするのが夢だったのでリフォームしてキッチン、リビング、書斎に。赤い壁紙や定番だという白い百合でモダンな彩り。

[パントリー]ふだん使わないもの、 仕込み中の保存食などの保管場所として活躍。

キッチンの隣には、3畳ほどのパントリーをしつらえた。

壁と壁の間に2本渡したバーは、大ざるをのせたり、ものを吊り下げるのに重宝。空間を有効利用している。
パントリーの横の廊下には、以前の住まいで使っていた木製キャビネットを並べて。おもに食器を収納。

一年のいっときしか使わない、梅を干すための大ざる。調味料や食品のストック、仕込み中の梅酒やヨーグルト。キッチンでたまに使う調理器具やクロスなどが混在している。

「置き場所さえ決めておけば、必要なときにすぐ取り出せます」

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