くらし

岸惠子さんが、2年ぶりにトークショーを開催。奇跡の90歳が、いま見ている世界とは。

女優にして作家の岸惠子さんが、今年8月に東京・新宿と横浜でトークショーを行う。2020年に予定していた公演が新型コロナの影響で中止になり約2年、待望の開催となる。この夏に90歳を迎える国際派女優の目に映る、今のこの世界とは。見逃せない舞台になりそうだ。
  • 文・クロワッサン オンライン編集部

岸さんが会場に姿を現した瞬間、たちまち場が華やぐ。凛としてハイヒールを履きこなす立ち姿の美しさは一輪の薔薇のよう。艶然とした笑みを湛えて「この取材会は久しぶりの外出なのよ」と語り始めた。

24歳で渡仏。長い外国生活を経験、ジャーナリストとしての著作もある岸さんの視点は、その人生同様にオリジナルなものだ。

トークショーでテーマにしたいことを聞かれ、

「時代がガラリと変わってしまいました。コロナウイルスという疫病と、プーチンさんの夢なのかしらね、ロシア帝国を再び取り戻そうという無謀な戦い。私たちの日本は特殊な国で、海に囲まれた安全地帯。もっと外を見ないと、行動をおこさないと、って思います。

私はウクライナの人をよく知っています。とても強い人たち。国に対する愛と信仰で、ここまで戦えるのは本当にすごいこと。でも、私はロシア人のいいところもよく知っているの。昔、その時の書記長だったフルチショフさんに招かれて、夫とともに彼の専用機で旧ソビエトの各地を回りました。そのときに触れたスラブ民族の優しさと明るさ、ユーモア、素朴な人の良さ。なのに今、彼らがよくわからない戦いに駆り出されて死んでいくのは、虚しいこと。ウクライナやベラルーシ、バルト三国を訪れたときに見た大平原の穀倉地帯、豊かに実った麦畑やひまわりの美しさが忘れられません。

今回はそんなことなどをお話できたらと思っています。」

トークショーのタイトルは「今を生きる」。「昨日があるから今があって、明日があるから今を一生懸命生きるんです」。
公演のある8月には90歳になる。「健康法? 何もしていないけれど、寝たいときに寝たいだけ寝ることよ(笑)」。
そんな岸さんが示してくれる、今の時代を生きるエッセンスを、ぜひ聴きに行きたい。

公演名:岸惠子 スペシャルトークショー「いまを生きる」
公演日程:2022年8月12日(金)神奈川県立音楽堂
8月30日(火)新宿文化センター大ホール
チケット一般発売:2022年6月25日(土)〜
お問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570・00・3337

きし・けいこ●横浜市出身。1951年映画デビュー。「君の名は」の大ヒットで一躍スターに。「亡命記」で東南アジア映画祭最優秀女優主演賞を受賞。24歳で結婚のため渡仏。その後、「おとうと」(ブルーリボン主演女優賞など受賞)「約束」「細雪」「かあちゃん」(日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞)など多数の映画で活躍。エッセイ『巴里の空はあかね雲』(文芸大賞エッセイ賞受賞)小説『風が見ていた』など著作も多数。2004年旭日小綬章、11年にはフランス政府より芸術文化勲章コマンドールを受章。

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