新鮮でおしゃれ、大きな苔玉のようなハンギンググリーンの寄植えレッスン。
撮影・中垣美沙
自宅で過ごす時間が増えた昨今、室内に植物があると、目に美しいのはもちろん、気分もリフレッシュされることに気づいた人も多いはず。ハイセンスな寄せ植えを自分で失敗なく作るコツを、フラワー&グリーンスタイリストのさとうゆみこさんに聞いた。
「寄せ植えに使う植物は、同じ環境で育つものを合わせることが大切です。おおかたの水やりの頻度やどんな用土が適しているのか、日当たりはどうするのかなど選ぶ際にチェックして、揃えるようにしましょう」
今回は、いまの季節から始められるインドアプランツのアレンジメントを提案。全工程と上手な育て方も解説する。
「一年中室内でも育てられますが、本来植物は屋外で生育するものなので、4〜10月は定期的に外に出すといいでしょう。いずれも直射日光は避け、明るい半日陰がベストです」
苗を買ってきたらまずは事前にたっぷり水やりをして、さあ、スタート。
どの角度から見ても植物が見えるようにいつくしみながら作る。
さとうさんおすすめ、部屋に立体感が生まれる吊り下げるタイプの寄せ植え。絡みつくように伸びていく蔓性植物を使っているので、時の経過による変化も面白い。器を使わない寄せ植えだが、ワイヤーで苔をしっかり固定しているため、土が崩れて落ちることもない。
「ボサボサの動物のような姿は、作っていて楽しいです。ワイヤーを巻きつける作業がけっこう難しいので、丁寧にしっかりまとめてください」(さとうさん)
新鮮でおしゃれ。大きな苔玉のようなハンギンググリーン。
(1)水苔、ハイ苔、アルミワイヤー(直径1mm)適宜、太ワイヤー(φ1.6mm)、吊り下げ用のワイヤーチェーン(アルミワイヤーと専用オーバルスリープで作っても)。使う道具は、先の細いペンチ、園芸用ハサミ。水苔は水に浸しておく。アルミワイヤーは40〜50cm長さに何本かカットしておく。
(2)ペペロミア・プティオラータ、リプサリス・カスッサ、ホヤ・チャイナビーン。吊り下げるので、乾燥に強い多肉質の蔓性植物3種類を使う。
(3)ビニールポットから取り出した時のプリンのような形に固まっている根鉢を割り開いて、平たくしておく。
(4)2つの植物を合体させる。根鉢を直角に、または平面になった部分同士を合わせる。
(5)40〜50cmにカットしたワイヤーを巻きつけて2つの植物を固定する。葉を巻き込まないよう地面(土の表面近く)を這わせ、1周巻いたらワイヤーの端同士をクロスさせてきつめにねじり、余ったワイヤーは切る。同じ要領で2本目を縦方向(合わせた植物が崩れないよう、十字にするイメージ)に巻きつける。まだ緩いようなら追加して巻きつける。
(6)3つ目の植物を葉のない側につけて、5と同様にワイヤー2〜3本を使ってジョイントする。植物同士がぐらぐらすることのないよう、ぴったりつくまでしっかり固定させる。
(7)苔を貼ってまん丸に近づけていく。ワイヤーを長さ10cmぐらい、先端を斜めに切って鋭角にし、ゆるく二つ折りしたUピンをたくさん作っておく。水苔を軽く絞って植物が足りない部分にのせたら、Uピンを何カ所かに刺して落ちないように留める。いきなり強く刺すとワイヤーが曲がるので、根元を持ってゆっくり差し込む。
(8)球体になった状態。植物だけだとUFO型になりがちで、崩れやすい。かといって苔を貼りすぎて球があまり大きくなると、見た目も可愛くないし水はけも悪くなるので、バランスのいいサイズを目指して。土が表面に見えなくなるように水苔を貼れば土留めの役割をして水やりのたびに土崩れが起こることもない。
(9)ハイ苔を同様にUピンで貼っていく。底面は植物がない面積が広いので、なるべく苔を切らずに大きく使うといい。
(10)隙間にもハイ苔を埋めたことで、水苔が見えなくなる。ハイ苔は湿度を好み、条件が合えば生長する苔だが、今回は主役の多肉質の蔓性植物を中心に考えて育てていくため、
カバーリング材の役割としてだけ使うことに。
(11)太ワイヤーを真っ直ぐに伸ばして片方の先端を斜めに切り、鋭角にして刺しやすくしておく。球体を四方から見て、バランスのよい角度、位置を決めたら、てっぺんからゆっくり刺していく。底まで通ったら、先端を緩いUの字に曲げて引っかかりのあるところまで引き戻すと、吊り下がる。
(12)太ワイヤーを上側の表面1cmぐらいでカットする。
(13)吊り下げ用のワイヤーチェーンを太ワイヤーに通し、太ワイヤーの先を曲げて輪にする。輪を閉じた部分は開かないようにペンチで潰す。
(14)今回使った着生植物は玉の表面に着生するため、植物のない所に伸びた蔓を持ってきてUピンで留めておくと、根を出して自然に土台に張りついていく。
(15)水やりの方法は、水を溜めたバケツにゆっくりと沈め、水を吸い切ったらゆっくりと引き上げる。屋外などに干して水が切れてから屋内へ。今回の植物は多肉質なので常時濡れているような状態ではなく、かなり乾いてから水やりを。持ってみて軽くなっているかが目安。
『クロワッサン』1061号より
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