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半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。

冷蔵庫や野菜室の底から出てくるあんなものやこんなもの。
ドアポケットぎっしりの瓶ものも気づくといつも賞味期限切れ……食品ロス=食費のムダ。
上手に食べ切る技を取得しておいしくトクをしましょう。

撮影・青木和義 スタイリング・矢口紀子 文・松本あかね

【 半丁の豆腐 】で炒り豆腐

半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
豆腐の水切りに時間をかけなくても、炒めながら水分を飛ばせば問題なし。
豆腐の水切りに時間をかけなくても、炒めながら水分を飛ばせば問題なし。
半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
豆腐の水切りに時間をかけなくても、炒めながら水分を飛ばせば問題なし。

夫婦2人の食卓では豆腐1丁すら持て余しがち。累積すればこれまで何丁ムダにしたことやら。半丁ほど残ったときの使い道に迷ったら、生の状態より日持ちがする副菜に仕立てておくことが、食品ロスを未然に防ぐ習慣になる。

「味付けには冷蔵庫にあるめんつゆを使えば、ラクに味が決まります。残ったねぎの端でもあれば刻んであしらえば立派なおかずに」

手軽な始末料理として、まずは覚えておきたい一品だ。

【材料(作りやすい分量)】
木綿豆腐 1/2丁(150~200g)
にんじん 2cm
椎茸 2枚
鶏肉(から揚げ用)2個
めんつゆ(3倍濃縮)大さじ1
サラダ油 小さじ1
卵 1個

【作り方】
1.豆腐はキッチンペーパーで包んでおく。にんじんは短めの細切り、椎茸は石づきを落として薄切り、鶏肉は小さめに切る。
2.鍋またはフライパンにサラダ油を入れて中火にかける。熱くなったら豆腐以外の1を入れさっと炒める。
3.ペーパーごと水気を絞った豆腐を崩しながら加える。へらで豆腐を潰し、水分が飛びパラッとなるまで炒める。
4.3にめんつゆを入れて味を調え、溶き卵を加えしっとり仕上がるまで炒りつける。

【 根菜の端 】のオリーブオイル焼き

半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
「大根も焼くとおいしいですよ」。よく火を通して甘みを引き出すのがコツ。
「大根も焼くとおいしいですよ」。よく火を通して甘みを引き出すのがコツ。
半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
「大根も焼くとおいしいですよ」。よく火を通して甘みを引き出すのがコツ。

きんぴらや煮物を作れば、必ず出る根菜類の半端もの。使うつもりがついしなびさせてしまう。そんなパターンも積み重なれば、大根1本分、にんじん1本分をうかうかダメにしているのと同じこと。

「野菜室の切れ端をまとめてフライパンでじっくり焼いてみてください。材料費120円とは思えない一皿になりますよ」

数センチ残った根菜を厚めに切ってオリーブオイルでじりじり焼けば、ワインの肴にもぴったり。

【材料(作りやすい分量)】
好みの硬い野菜(大根、にんじん、れんこん、長芋、かぼちゃなど)400g
オリーブ油 大さじ1
塩・こしょう 各適量

【作り方】
1.野菜は皮ごと丁寧に洗い、水気を切って1~1.5cm程度の厚さに切る。
2.フライパンにオリーブ油をひいて1を並べ、中火でこんがり焼き色がつくまでじっくり焼く。器に盛り、塩、こしょうをかける。

【 残り葉野菜 】のクタクタ蒸し

半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
加熱すると約3分の1の量に。「焼いた肉にソース代わりにからめて食べても」
加熱すると約3分の1の量に。「焼いた肉にソース代わりにからめて食べても」
半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
加熱すると約3分の1の量に。「焼いた肉にソース代わりにからめて食べても」

実は全体の3分の1から4分の1を占めるのがブロッコリーの芯やセロリの葉。ここを捨ててしまうか、食べ切るかの差は大きい。

「柔らかく一体化するまで蒸し煮にすれば、硬い外葉や芯の部分もペロリと食べられます。この料理にはセロリの香りが欠かせないので、残った葉を冷凍しておいても」

鍋いっぱいの野菜は800gほどで1日に摂取したい野菜量のおよそ2倍。120円でそれが賄えるとしたら試さない手はない。

【材料(作りやすい分量)】
キャベツ・セロリの葉・ねぎの青い部分・ブロッコリーの軸など 800g
プチトマト 2個
にんにく 1かけ
オリーブ油 大さじ2
水1/3カップ
塩・こしょう 各適量

【作り方】
1.葉野菜はざく切りにする。トマトはへたを取る。ブロッコリーの軸は表面の硬い部分を切り取り輪切りにする。にんにくは横に薄切りにする。
2.鍋にオリーブ油、1、水を入れて蓋をし、中火にかける。煮立ってきたら弱めの中火にし、3分の1程度の量になるまで30分ほど蒸し煮にする。仕上げに塩、こしょうで味を調える。

*途中水がなくなり焦げそうになったら、適宜、水を足すこと。

【 余った白菜 】で簡単塩漬け

半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
繊維を断つ方向に切れば、よりしんなり。乳酸発酵させると料理が深い味わいに。
繊維を断つ方向に切れば、よりしんなり。乳酸発酵させると料理が深い味わいに。
半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
繊維を断つ方向に切れば、よりしんなり。乳酸発酵させると料理が深い味わいに。

半分や4分の1にカットされた白菜は、丸ごとのものに比べ貯蔵がきかず、ロスしやすいのが難点。

「2分の1個を買って使い切れなかったら、そのまま冷蔵庫に入れておくより、ザクザク刻んで塩でもんでおけば、スープにも炒め物にもすぐ使えて便利です」

ここではおよそ4分の1の白菜、100円分を生かすことができたという計算になる。かさでいうと約3分の1に減り、冷蔵庫の場所もふさがないのもうれしい。

【材料(作りやすい分量)】
白菜 適量
塩(白菜の1.5~2%)

【作り方】
1.白菜を好みの幅に横に切る(写真は7mm程度)。
2.ボウルに白菜と分量の塩を入れて軽くもみ、15分ほどおく。再度軽くもんで、出てきた水気を軽く絞り、保存容器に入れて冷蔵庫へ。1週間ほど持つ。

【 佃煮とジャム 】のクリームチーズ和えクラッカーのせ

半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
昆布の佃煮、わさび漬け、のりと麺つゆ、刻んだドライフルーツなどでも。
昆布の佃煮、わさび漬け、のりと麺つゆ、刻んだドライフルーツなどでも。
半端に余った野菜、使い切れないジャムや佃煮…上田淳子さんに教わる手軽な始末料理。
昆布の佃煮、わさび漬け、のりと麺つゆ、刻んだドライフルーツなどでも。

瓶底に数センチ残ったまま、気づけば賞味期限が過ぎ、もっぱら処分という佃煮やジャムの運命はいかに変えることができるのか。味に飽きるのが原因ならクリームチーズと混ぜると方々から手が伸びる人気のおやつになる。

「フランスの海藻バターがあるように海藻と乳脂肪は相性良し。市販のいちごバターも人気ですが、こちらも匹敵する味ですよ」

処分していたそれぞれ5分の1分の金額、約80円がよみがえる。

【材料(作りやすい分量)】
残ったのり佃煮・ジャム各 小さじ1
クリームチーズ 90g
クラッカー・ビスケット各 適量

【作り方】
チーズの1/2量に佃煮、残りにジャムを加えて混ぜ、クラッカーやビスケットにのせる。

  • 上田淳子

    上田淳子 さん (うえだ・じゅんこ)

    料理研究家

    普段のフレンチから子ども向けレシピまで、幅広いアプローチで家庭料理を提案。共著『おいしい煮込み 5人の料理家が作り続けているレシピ』(西東社)。

『クロワッサン』1062号より

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