くらし

フードディレクター野村友里さんが、忘れられない音楽とその思い出。

ある曲を聴くと、一瞬でその時代に戻れる。音楽にはそんな力があります。音楽を愛する野村友里さんに、大切な歌とその思い出を聞きました。

「ひとつだけ」矢野顕子 with 忌野清志郎
●「風をあつめて」はっぴいえんど

幼い頃は母の子守歌で眠り、古い民謡を聴いて育った。

音楽は流行した時代とダイレクトにつながるものだけれど、いい歌は歌い継がれて、時に新たな解釈で広がっていくと思う。

そして、音楽は料理と似ている。素材を活かすこと、ライブ感、言葉がなくても通じ合える――。最近は音楽の力を借りて、食=生きるを表現したくて『eatrip soil』で音楽と料理音のセッションも楽しんでいる。

「ひとつだけ」はともかく歌詞がいい。私が4年前に行った銀座ソニーパークのイベントでは、UAとハナレグミがこの曲を歌った。新たな解釈で歌が美しく広がって、震えるように感動しました。

「風をあつめて」は、映画『ロスト・イン・トランスレーション』の中のカラオケシーンで登場する。私の弟も縁あって劇中で歌っている。それから何度となく海外でもこの歌を歌う異国の人を目にした。言葉を正確に発音できなくても、意味がわからなくても、そのメロディとニュアンスで通じ合えるのが音楽だもの。

『矢野顕子、忌野清志郎を歌う』に収録された「ひとつだけ」。

松本隆作詞、細野晴臣作曲の「風をあつめて」。『風街ろまん』に収録。

野村友里

野村友里 さん (のむら・ゆり)

フードディレクター

東京生まれ。レストランeatrip、eatrip soil主宰。料理上手な母の影響から料理の道へ進み、料理と人、さまざまな文化を繋ぐ活動を続ける。

『クロワッサン』1054号より

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