くらし

映画作家、河瀨直美さんが、忘れられない音楽とその思い出。

ある曲を聴くと、一瞬でその時代に戻れる。音楽にはそんな力があります。音楽を愛する河瀨直美さんに、大切な歌とその思い出を聞きました。

「雲がちぎれる時」UA
●「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」YEN TOWN BAND

選んだ曲は、どちらも1996年リリースのもの。

この年は、私にとって大きなターニングポイントとなる年で『萌の朱雀』という長編第1作を撮影している時だった。

定職にもつかず、映画を撮ることだけにほとんどの時間を費やしていた頃、世間からは何をしているのかわからない風来坊のように見られていたと思う。そんな時、拠り所もなく、迷うように知らない道をさまよい、「あいのうた」を聴きながら、空を見上げていた。

「雲がちぎれる時」にも同じような感覚があって、誰かに見つけてもらいたいのだけれど、誰にも見つかりたくないような、自分が自分であり続けることの難しさを感じていた頃によく聴いた。今も、時々繰り返し聴く曲だ。

UA(ウーア)「雲がちぎれる時」。英語詞バージョンとパティ・スミスの「BECAUSE THE NIGHT」収録。

映画『スワロウテイル』の主題歌、「Swallow tail Butterfly〜あいのうた〜」。

河瀨直美

河瀨直美 さん (かわせ・なおみ)

映画作家

奈良を拠点に映画を創り続ける。『萌の朱雀』で第50回カンヌ映画祭カメラ・ドールを最年少受賞。『殯の森』で第60回カンヌ映画祭グランプリ受賞。最新作は『朝が来る』。

『クロワッサン』1054号より

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