友達との会話、好印象につながる言い換え方。
イラストレーション・鈴木衣津子 文・嶌 陽子
ほどよい距離感を保ちつつ、相手の気持ちを受け止めることが大切。
【×】言いがちフレーズ
そんなこと、大したことないよ。
↓
【◯】好印象フレーズ
そういうことがあったんだね。
悩んでいる友人をなぐさめるつもりで言いがちな、「大したことないよ」 「〜よりマシだよ」は相手を傷つける言葉。
「言われた側は自分の悩みが取るに足らないことだと決めつけられているように感じてしまいます。悩みが大したことかどうかは、当事者にしかわからないこと。なぐさめの言葉には全くなりません」
相手を気遣いたいのであれば、「そうだったんだね」と、悩みをそのまま受け止めるのがベストな応対だ。
「『それは大変だったね』という言い方も、悩みを一括りにされたような印象を受けるので避けたほうがいいでしょう。相手が使った言葉や主張している内容をしっかりつかみ、それを返すのが大事です」
【×】言いがちフレーズ
私も同じだからわかる。
↓
【◯】好印象フレーズ
そういう状況なんだ。/少しはわかる気がする。
「いくら自分が友人と似たような経験をしていても、相手と自分は違う人間であり、同じということはありません。『本当にわかってるの?』と思われてしまう可能性もあります。相手とのほどよい距離を保ちつつ慰めたい時は、〝同感〟ではなく、相手の気持ちをそのまま受け取る〝共感〟が大切。『そういう状況なんだね』と返すか、相手と自分は違う人間だということを踏まえた上で、『少しはわかる気がする』にとどめましょう」
また、同感を続けていると自他の境界がなくなり、相手への依存が生まれやすくなる。
「依存は攻撃と表裏一体。一度でも自分を否定されたりすると、一挙に関係が破綻するので注意が必要なのです」
【×】言いがちフレーズ
何だか疲れてない?
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【◯】好印象フレーズ
元気?/最近どう?
『疲れている』は、ネガティブワードそのもの。
「心配して言っているつもりでも、言われた側は『そんなに疲れて見えるのかな?』とショックを受けてしまいます。たとえ疲れていなくても、そのマイナスな言葉に引っ張られて実際に元気をなくしてしまう可能性もありえます」
相手を気遣うのであれば、「最近どう?」で充分。ポジティブな言葉で「元気?」と聞くと、相手の気持ちもプラスに動くはずだ。
【×】言いがちフレーズ
言ってくれればよかったのに。
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【◯】好印象フレーズ
今度何かあったら、よかったら相談してね。
トラブルがあった友人から後日そのことを打ち明けられた際、相手を責めるような言い方をするのはNG。
「トラブルの最中は、誰にも言いたくなかったのかもしれないですよね。また、いくらこちらが水くさいと思ったとしても、そもそも相手にとって自分は打ち明けたいと思うほどの関係ではなかったのかもしれません。特に悩み事やトラブルには複雑な事情が絡んでいるもの。そこを責めるのはナンセンスです」
本当に相手の役に立ちたいと思うなら、過ぎ去ったことを追及せず、「今度何かあったら相談して」 「こういうことだったら役に立てるかもしれない」と、未来について自分の気持ちを伝えるだけにしよう。
【×】言いがちフレーズ
私のことは気にしないで。
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【◯】好印象フレーズ
皆さんの意向に合わせます。
友だちグループで会合の日時や店などを決める場合、「気にしないで」と伝えるのは「気にして」 「私のことを忘れたら許さない」とアピールしているのと同じ場合が多い。
「こういう人に限って、決まった内容に反対しがちです。本当に気にしないのであれば、『皆さんに合わせます』と決定権を人に委ねる意思があることを明確に伝えましょう。もし希望があれば、『〜以外なら大丈夫』と伝えておけばトラブルも防げます」
【×】言いがちフレーズ
連絡がなかったから心配していたの。
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【◯】好印象フレーズ
久しぶりに連絡をもらえてうれしい。
久しぶりに友人から連絡をもらった際、「心配していた」 「具合でも悪いのかと思った」というのはネガティブな表現。連絡しなかったことを責めるニュアンスも含まれていて、相手を嫌な気分にさせる場合もありうる。
「『連絡をもらえてうれしかった』 『久しぶりに声を聞けてうれしい』などとストレートに伝えれば、相手も『連絡してよかった』と思うはずです」
また、久しぶりに連絡をもらった相手に対して、「私も連絡しようと思っていたの」というのもよく聞く言葉。
「相手との関係性にもよりますが、社交辞令の場合、『本当にそう思ってたの?』と受け取られる可能性も。気をつけて使ったほうがいいでしょう」