大事な衣類の洗濯や保管の「困った!」を解決。
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・福岡麻利子 文・菅野綾子
【洗濯】の悩み
色落ちを抑えるポイントや手洗いの方法、保管方法まで。
大事な衣類をきれいなままキープする秘訣を聞いた。
黄ばんだ白物はどうしたらいい?
お気に入りの白いブラウスやワンピース。久しぶりに着ようとしたら、黄色く変色していてショック……。元に戻す方法はありますか。
「白い衣類が黄ばんでしまう理由はさまざまですが、多くは毎日の洗濯方法によるものと汗が原因。
前者の、洗濯機で何回も洗っているうちに出てくる黄ばみは、洗剤のすすぎ不足が考えられます。
家庭用の洗濯機はすすぎ時間が短いため、洗剤を充分に落としきれず、衣類に残った洗剤が酸化して黄色く変色してしまうのです。
こうして黄ばんだ服は熱湯で再度洗濯(煮洗い)すると、残留物が剥がれ落ちて白さがよみがえります。
一方、汗などによる黄ばみは、汗の成分を漂白剤などで取り除く必要があります。40度くらいのお湯に酸素系漂白剤を溶かして30分ほどつけ込んだあと、充分にすすぐと黄ばみを除去できます。
それでも白くならないものや、黄ばみの原因がわからない場合は、一度クリーニング店に相談してみるといいでしょう」(クリーニングショップ『レジュイール』代表・古田陽祐さん)
コート類の上手な保管方法が知りたい
家で洗濯もできず、頻繁にドライクリーニングにも出せないコート類のケア方法や、きれいな状態をキープする保管方法が知りたい。
「コート類は一見汚れていないようでも、屋外のホコリや車の排ガスなど目に見えない汚れが付着することで少しずつ黒ずんできます。
汚れの蓄積を防ぐためにも、着用後はその都度ブラシなどでホコリや粉塵を払い落としましょう。目に見えて黒ずんできたらブラッシングだけでは除去できないのでドライクリーニングを。
長期保管の際も、一度クリーニングに出してから保管するのがおすすめです。シミや汚れをそのままにして保管しておくと、取れなくなる恐れも。
クリーニング後はビニールカバーを外して湿度が少ない場所で保管を。ビニールカバーを外さずにいると、湿気が溜まるだけでなく、石油系洗剤のにおいがこもってしまうこともあります。
また、光による紫外線焼けは蛍光灯でも起きるため、できるだけ暗い場所か、不織布などをかぶせておくのも有効です」(古田さん)
黒い衣類の色褪せや色落ちをなんとかしたい
黒や紺など、濃い色の衣類は洗濯を重ねるうちにどうしても白っぽくなってきます。色落ちを防ぐ方法は何かありませんか?
「残念ながら、黒や濃い色の服を完全に色止めすることはできません。
水で洗う以上、色落ちは避けられませんが、アルカリ性の強い石鹼や漂白剤、お湯などで洗濯すると、色落ちはより進行してしまいます。
そのため、できる限り色落ちを抑えながら洗濯するには、中性洗剤を使うこと、洗浄時間を短めに設定すること、お湯ではなく水で洗うことを心がけて。
それほど汚れていないなら、洗剤を入れずに水だけで洗うことでさらなる色落ちを軽減することもできます。
ただし、製品によってはもともとかなり色落ちしやすいものもあるので、色落ちを抑える洗い方をする場合でも、白いものと一緒に洗うのは避けたほうがよいでしょう」(古田さん)
「手洗い」の正しいやり方は?
洗濯機で洗えないシルクやニットなどのデリケートな衣類。クリーニングに出さずに手洗いしたいけど、正しいやり方がわからない。
「手洗いは、1点ずつ洗うのが基本。洗いたい服が充分に入るサイズの洗面器やバケツを用意し、軽く押し洗いをするのが理想です。その後、水道水を流しながら充分にすすいでください。すすぎ終えたら軽く絞り、平面で形を整えて陰干しします」(古田さん)
『クロワッサン』1040号より