女性のひとり老後、年金を少しでも増やし、支出を減らしたい。
イラストレーション・矢部太郎 文・太田祐子
年金を少しでも増やすいい方法はありますか?
自営業、フリーランスなど第1号被保険者の場合、国民年金とは別に国民年金基金へ加入するかiDeCoを利用して自分年金を増やすことができる。
「第1号で受け取れる国民年金は満額でも月6万5141円ですから生活費としては心もとない。国民年金基金(利回り年約1.5%)とiDeCo、合計で月6万8000円まで掛け金を拠出でき、所得控除にもなります。さらに自営業の退職金制度としても利用できる小規模企業共済も月7万円までの掛け金が全額所得控除に。すべて満額で運用するとかなり心強い」
また、配偶者の扶養範囲内のパートで働いているなどの場合は、「厚生年金に入れるチェーン店などの法人事業所に勤めることをおすすめします。今後、厚生労働省はパートで週20時間以上勤務する場合、厚生年金に加入できる企業規模を縮小していく方針です」。
よく夫の扶養から外れて働くより扶養内でいたほうが得という話も聞くが、それでは自分の年金は増えない。
「ひとり老後を考えると、厚生年金に加入できるところで働き、少しでも自分の年金を増やしたほうがいい。目安として年155万円以上稼げるようになれば、社会保険料を払っても手取りは減らない計算に」
そして誰にでもできるのが、年金の繰り下げ受給だ。
「70歳からの受給にすれば、65歳からもらうより42%増額に。70歳まで働きましょう。ガツガツ働く必要はないんです。月5万円くらい稼げればいい。例の老後2000万円問題も月5万円の赤字が積み上がった結果の話です。
だからその赤字を埋めるくらいの働きでじゅうぶん。ストレスのない、自分の好きなことで働いて、70歳から年金をもらうようにするといいのではないでしょうか」
支出を抑えるといっても、どこから手をつければいい?
井戸さんがすすめるのは、まずローンの見直しだ。とくにボーナス払いはやめたほうがいいという。
「40代でも50代でも、今すぐに改めてください。コロナ禍をきっかけに働き方が変化しています。会社員であっても個人事業主への転換を勧められることもある。そもそも不安定なボーナスを頼りにした返済は避けるべき」
次に手を付けるのは固定費の見直し。
「携帯のキャリアを格安タイプに変えたり、課金アプリを解約する。月1000円だからといくつもストリーミングサービスを利用していては支出は増える一方です」
コツは、生活がみじめにならないようにすること。
「食費を削るなんてことはやめましょう。体に悪いし長続きしません。新聞をデジタルに変更するなど、いろんな角度から見直してみる」
それには、支出項目をパーセンテージで把握するとわかりやすい。
「支出合計に対して基本生活費、住居費などがどういう割合なのか。下に年金生活の場合の理想の割合を紹介します。自分の生活と比べて何が多いか、イメージしておきましょう」
< 支出を抑えるには>
『クロワッサン』1038号より
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