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テレビが作り上げたものをテレビでこわしてゆく――永六輔(放送作家)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、メディアの達人の言葉からテレビの行方を考えます。
  • 文・澁川祐子

テレビが作り上げたものをテレビでこわしてゆく――永六輔(放送作家)

1979年6月10日号「わたしのテレビ体験」より

1979年6月10日号は、誌面のおよそ半分を割いて多角的にテレビを大特集。同年のカラーテレビ普及率は97.8%。ほぼ全世帯にカラーテレビが行き渡った時代を背景に、議論が展開されています。

巻頭では「わたしのテレビ体験」と題し、出演者から視聴者、製作者までさまざまな立場からテレビを考察。そのトップバッターが、放送作家、ラジオパーソナリティ、随筆家と幅広く活躍した永六輔さん(1933-2016)です。

一時はテレビから遠ざかり、ラジオに専念していた永さん。6年ぶりにNHKのバラエティ番組「ばらえてい テレビファソラシド」に出演し、その意気込みを語っています。

番組では、女性アナウンサーが司会を務め、永さんはアシスタント。とはいえ、かなりおしゃべりな補佐役のよう。そんな彼に対して「アシスタントのくせに」と投書が来るといいますが、アシスタントは横でニコニコしているものだというイメージは、テレビに植えつけられたものだと永さんは指摘。そこで出てきたのが、テレビが作り上げた既成概念を、テレビの中から打ち壊していくという今回の名言です。

マスを相手にするメディアだけに、やっていることがあっというまに既成概念になり、自己模倣に陥ってしまう。そこを打ち破っていかなければ、新しい表現は生まれない。ネットとの競争で活路を見失っている今こそ、テレビには永さんのような気概が求められているのではないか。そう感じると同時に、どのメディアにも通じる言葉だと心して受けとめました。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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