タサン志麻さんの、何でも手作りするフランス流の住まい。
撮影・青木和義 文・黒澤 彩
昨年、キッチン背面の壁と床がかなり傷んでしまっていることが発覚し、一念発起してすべて取り換えることに。隅々まで採寸し、業務用のラインアップの中からちょうどいい幅のシンク、ガス台、調理台をインターネットで購入した。そのとき、タサンさんは出産のため入院中。業者に頼らず、ロマンさんと友人で、配管からガス台の設置までを完了したという。
「夫はフランスにいた頃、電気工の仕事もしていたので配管などはお手のもの。でも、フランスでは、誰でも自分でやるのが当たり前みたいです」
思い切って変えるところは変える潔さも大切。
がらりと変わった場所といえば、丸ごと取り換えた洗面台と、今年になって手を入れた庭。
「洗面台のコーナーは以前の面影がないくらい、全部新しくしました。庭は草むしりが追いつかないので、庭師の方にお願いして石を敷いてもらったら、見違えましたね。少しずつ好きな植物を植え始めたところです」
古民家ならではの魅力はそのまま残していきたい。
「日本家屋って、よく考えられているなと思います。この家は相当古いんですけど、色あせない魅力もたくさんあって。そういうところには手を加えずに使っています」
あまりに傷んでいたり、使いにくい部分は順番に直していきたいけれど、住んでみて初めて気づいた造りのよさも。古民家を住みこなすことを楽しんでいる。
リフォームを急がずに今後の楽しみをとっておく。
2階には子ども部屋と夫婦の寝室、広いベランダのある多目的部屋がある。どの部屋も、まだこれというリフォームはしていない。
「子どもは小さいし、寝室もとくに不便はないのですが、これからどんな部屋にしようと思い巡らせるだけでワクワクします。すぐに答えを出さずに、ゆっくり考えたいと思っています」
タサン志麻(たさん・しま)●フレンチのコックとしてレストランに勤務後、2015年にフリーランスの家政婦に。著書『ちょっとフレンチなおうち仕事』など。
『クロワッサン』1030号より
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